mayuge のヒマラヤ・トレッキング日記 Trekking TOPITINERARY<pastnext>
【9日目】 ゴラクシェプ⇔カラ・パタール ⇒ペリチェ
The 9th Leg "Gorak Shep⇔Kala Patthar ⇒Pheriche"


 午前6時起床。5時頃一度目が覚めたときに結構ヘヴィな頭痛を感じ、最後の一錠となったバファリンを飲んだ。恐る恐る起き上がってみると、「アレッ、痛い? ん、でもそうでもないかな?」という微妙な感じ。朝食を普通に平らげた頃にはスタートできそうな状態になっていた。

 午前6時48分、いよいよカラパタールへ向け出発。気温3.7度。ロッジを出て平らな砂地を渡る。空はやや雲が見られるものの晴れてくれている。


白く光るプモリの表情
 丘に差し掛かると地面は砂地から土に変わった。ここからは急ぎ過ぎないように歩幅を小さくして、さらに呼吸をたくさんしながら登っていく。高度が上がるとともに風が出てきて体感温度がぐっと下がってくる。PRO TREKは摂氏1.1度、標高5,265メートルを示した。

 前方には、太陽の光を受けて白く光るプモリの姿が、前日までよりも大きくなって迫ってくる。しかし、太陽はまだ我々のいる場所からは見えない。足元には徐々に岩が多くなってくるので、足を取られぬよう意識を集中する。


エヴェレストからの日の出
 太陽はまだ背後に聳えるヌプツェの向こう側だ。しかしヌプツェの稜線が次第に光を帯びてくるのが分かる。ヒマラヤの日の出が近い。

 そして午前7時19分、太陽はエヴェレスト付近から姿を現した。

 太陽の熱を受けた山々の雪が蒸発を始め、その肩から神秘的な煙を発しているのが分かる。荘厳な光景だ。

 日が昇ると途端に暖かさを感じるようになる。ダウンジャケットの上にさらにウィンドブレーカーを着込んでいるだけに、歩いていて汗をかき出しているのを感じる。

 さらに足場は表情を変える。土が消え岩だらけの急坂になり、トレッカーにラストスパートを許さない。しかしここまで来ると、顔を上げればカラパタールの頂上が見えるようになる。すでに到着した先発隊がエヴェレスト方面に見入ってるのが分かる。もうすぐだ。


 午前8時45分、最後の岩場をよじ登り、カラパタールの山頂に達した。

 やった。とうとう来た。

 まず景色云々より、ここまで来られた、今、自分はここにいる、ということに感動。

 頂上は人が2、3人座れる程度の一枚岩となっている。先発隊が下山していったので、今朝の行程をほぼ同行していた金髪のお姉ちゃんと二人で独占だ。

 エヴェレストに向かって座って膝を抱える。その姿自体は、この日に至るまでにもすでに何度か目にしてはいた。だが、ここカラパタールから見ることを最大のミッションとしていくつもの試練を耐えてきただけに、より充実した気分で眺めることができる。

カラパタールから望むエヴェレスト


スーパースターと記念撮影してる気分
 頂に雲をまとったエヴェレストは、無言でそこにいる。雲はまるで、風に急かされ忙しなくエヴェレストの装飾を行っているようだ。それでも、当のエヴェレストはお構いなしといった様子。その姿には美しさ、強さとともに堂々とした風格を感じる。そして「成り上がり一番」のものにありがちな「どうだ!」というような押し付けがましさはない。8,848メートルだろうが8,850メートルだろうがどっちだっていい。俺は俺だ、という自信のようなものさえ感じた。

 さすがは、世界一。一緒に写真撮らせてください。
 カラパタールからは360度のパノラマが得られる。その一部を紹介しよう。ヒマラヤが「世界の屋根」と呼ばれる理由が何となく感じられるのではないだろうか。


【北東方面】左から、プモリ、チャンツェ(7553m)、エヴェレスト(8850m)などの姿が見える。写真では分かりにくいが、エヴェレストの壁面にある赤い地層をそのまま斜めに延長すると、ちょうどチャンツェの赤い帯に合致する

【南東方面】横たわるクーンブ氷河の向こうに、アマダブラム(6856m)の三角のシルエットが浮かぶ



晴れ渡っていたプモリ方面が、急激に曇り出した
 午前9時10分、下山。

 午前9時50分、ゴラクシェプのロッジ着。登りは約2時間かかったが、下りはなんと40分。カラパタール登頂という薬が効いて、頭痛もどこかに飛んでいってしまったようだ。

 午前10時50分、ゴラクシェプ出発。今日はこのままペリチェまで下る予定だ。プモリ、カラパタールの方角を見上げると、空はすっかり雲で覆われ、風も強くなってきている。早い時間にカラパタールに登っておいて良かったとつくづく思う。

往は快晴のもとで見たチョルテンも吹雪に見舞われていた。かさこ地蔵ではありません
  午後1時、ロブチェ着。雪が降り出してきたので、ザックカバーを取り出す。

 午後1時50分、トゥクラ着。衣服の雪を落とし、ホットレモンで暖をとる。

 午後2時20分、トゥクラ発。

雪の中でも彼らは運ぶ
 トゥクラを過ぎ緩やかな坂に差し掛かったところでヤクたちに遭遇。こんな吹雪の中でも休みもらえないんだ。ご苦労さんだね。

 ガスがかかり視界が悪いことに加え、前から吹き付けてくる風で、雪が目を直撃する。雪除けのためにかけているサングラスも曇ってしまって役に立たない。直接雪が当たる太股は、もうビショビショだ。

 午後3時20分、ペリチェ着。再びPUMORI LODGEに宿泊することになる。ここはこの村のロッジで唯一トイレが建物内にあるらしい。夜寒い思いをしなくてすむのはありがたい。そして今度はRoom No.3。mayugeにとって縁起のいい数なので、快眠を期待できそうだ。

 食堂では暖をとるために集まった先客たちが、すでにストーブを囲んでいた。

 しかしいくらシーズンとはいえ、長期間のトレッキングに世界各地からよくもこれだけの人が集まるものだ。男ひとり、女ひとり、男どうし、女どうし、夫婦など楽しみ方も様々。日本で休みといえば、イメージされるのはワイハに代表されるような「南の島」が多数派。「夫婦でシャワーなしトレッキング」なんて、まずいないだろう。将来は奥さんと二人、バックパックを担いで旅行するのもいいかもね、なんて考えみたりする。

 夜、薄いベニア板を挟んだ隣の部屋のご夫婦のうち、奥さんが咳き込んでいるのが聞こえてきた。かなりつらそうだ。mayugeが持参しているヴィックスドロップを明日にでも分けてあげよう。

2001年3月29日(木)
Thu. Mar.29 '01
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