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マユゲの夏休み 〜第五章「登山スタート」〜



2000年8月15日(火)

 6時30分、起床。やべっ。ホントは6:00に起きるつもりだったのに。これだと、定食屋で朝メシはむりだな。まあ、大丈夫だ。顔を洗い、荷物をまとめて、チェックアウト。ホテル・ラフレシア、なかなか快適だったです。

 さて、今日はとうとう、キナバル登山。ここ、コタ・キナバルから、登山口までは、約90qの道のり。車で約2時間とのこと。キナバル国立公園内にある公園管理事務所で入山手続きやら何やらあるらしい。

 バスは7:15発って言ってたよな。急ぎ足で長距離バスターミナルへ。すると昨日マユゲからバスの予約をねばってとりつけた兄ちゃんが、マユゲを見つけるや、駆け寄ってくる。本当に来てくれてありがとう、という感じ。さっそく乗り込み、RM20を支払う。おいおい、おつりRM5は? 料金はRM15だろ? まったく油断もスキもあったもんじゃない。本当はタクシーで行くと約RM100っていうから、全然オッケーなんだけどね。でも「When in ROME,do as the ROMENS do」である。日本人だからって、いいように金をバラまくことは、逆に彼等に対して失礼である。マユゲは、ちょっとした料金でも真剣勝負することにしている。

朝から活気あふれるターミナル。

 7時10分か、間に合ったな。このバスはキナバル国立公園より先の「サンダカン」という都市へいく長距離バス(途中下車だな)。車体には、BAS MINIとの表記。一番小さいハイエースクラスである。狭いな、シート。これで2時間か……。まあ、地元民と一緒に行くのが楽しみだからな、いいでしょう。

 このターミナルには、長距離のバスが集まっているだけに、その道中で食べる「車内食」を売る商人が次々にバスに乗ってくる。なんだか怪しいパンとか、飴・ガムとか、果物なんかも。なぜか腕時計を両手に40本くらいつけたヤツも乗り込んでくる。いらないよ。俺、時計あるから。えっ? サングラスはどうだ、だって?ホラ、頭に差してるだろ、俺。いらない、いらない。ん? なんだよ、しつけーな。自分のと取り替えないかだって? コラコラ調子にのるんじゃない、っつーの。

 7時15分を過ぎても、まだドライバーも乗ってこないし、まったく出発する気配がない。おいおい、どうしたの? 行こうよ、早く。俺、公園事務所に、できれば9:30には着きたいんだよね。まだまだ乗客は乗ってくる。バカでかい荷物を3つも載せてくるおっちゃん。引越しか?と思うくらい。ちょっと気位の高そうなイスラムのおばちゃんも。あんた、ちょっとそこ詰めてよ。あらっ、ここ座り心地悪いわね。あらあら、そっちの席いいじゃない。ちょっとあんた替わんなさいよ、ってな感じ。座るとガラムをスパスパやり始める。朝から感じワリーぞ、おい。

 あれっ、もう7時45分じゃん。でも、まだ発車しない。痺れを切らしたマユゲが、「もう怒った。タクシーに乗り換えてやるう」と思って立ち上りかけたとき、ドライバーが乗り込んできた。

 ようやく出発。リミットである10:30までに入山手続き終えられるかな? ちょっと不安。 ったく、いー加減だな(インドの国鉄もえらくいー加減だったな、そう言えば)。長距離だけに、席がきっちり埋まって元をとってからの発車ということらしい。まぁ、2時間ちょっとで着いてくれればオッケーでしょ。

 コタ・キナバル市街を抜けたあたりで、落ち着いて改めてバスの車内をキョロキョロしてみると、前方の窓にミッキーの日よけが。そこには「NO.1 DRIVER IN TOWN」とある。

信じていいんだな、ミッキーよ?

 そのドライバーはといえば、言うだけのことはあって、なかなかの腕前。飛ばして欲しいところでは飛ばすし、急ブレーキなんかも特にない。これなら酔わずに行けそうだ。しばらく走ると次第に山道に。バスはどんどん高度を上げていくため、耳ツーン病に襲われる。すかさずマユゲは、つばをゴクンゴクン。

 途中ガソリンスタンドに寄って給油後、再出発してすぐに、マユゲの目的地キナバル山が見えてきた。道がワインディングしているため、なかなかいい角度でサイバーショットに捕らえられなかったが、やっといい角度がきそうな気配。そこですかさず、

パシャ。

 やっぱ迫力あるねー。なんか、オーラ発してるよね? 山頂のほうには雲がかかっている。雨ふってるのかな?

 心配されたが、何とか10時前にキナバル国立公園に到着(したらしい)。「Youはここで降りるんだよな?」 。えっ? ここ、ただの山道じゃん。ここで降りて歩けばいいの? OK,Thanks.See you! 運ちゃんが指差した方向に歩いていくと、

公園入り口だ。

 この公園ゲートをくぐってすぐのところに、管理事務所があった。欧州系の若い男女二人組みが何やら手続きしている。後ろに並んでおこっと。

 マユゲの番がくる。日本から前もってファックス&国際電話で予約しておいた、キナバル山中腹にあるという宿泊施設「ラバンラタレストハウス」の宿泊予約書を見せる。「Oh,MR.アービー(ABE)?」 。NO.アーベー(なんで俺まで伸ばしてんの?)。でもあの電話、ちゃんと通じてたんだ。予約されてる。これで登ったものの宿無し、という最悪の事態はないな。

 ガイドブックによると、キナバル登山というのは、次のような2泊3日のパターンが一般的らしい。公園管理事務所近くの宿に前泊。→朝から登山を開始、雨が降り出す前、昼過ぎにラバンラタに到着。→休憩・仮眠→午前3:00山頂へ向け出発。→山頂付近で日の出。→その日に下山。マユゲの場合、コタキナバルの夜の屋台をいち早く経験するため、前泊なしの1泊2日である。

 ここで、入山登録、登山ガイド申請(ここ、キナバル国立公園内では、自然保護監視のため、ガイドが下山までの全行程同行するのだ)、登山保険申込(「入るのならあちらのカウンターへ」という案内。決して「いかがですか?」ではない。自己責任なんだよね)、ラゲッジ保管依頼(1泊2日の登山中で必要のない物品をザックから出して小さいパックにいれて預けるのだ)、さらには、公園ゲートから登山ゲートまでのシャトルバス料金・ラバンラタレストハウスの宿泊費の支払い、といった手続き。時間がないので次々にこなして大忙し。締めて(チーン!)約RM200。国際電話で聞いた通りだ。よしよし。

 ガイドのコゥンギンさんとも、ここで合流。小柄な40歳前後のおっちゃん(でもこっちの人はみんな年齢不詳だから、実はもっと若いかも?)。Hi, nice to meet you!と声をかけ、握手。よろしくお願いします、って何て言えばいいんかな?

 挨拶もそこそこに、二人でシャトルバスへ飛び乗る(ここでもメシを食っている暇はなかった……)。5分ほどで登山ゲートに到着。

ティンポホン・ゲートといいます。

 ここをくぐると、いよいよキナバル登山が始まる。標高にして1,890m。山頂までは、2,000m以上登るわけだ。でも、「あれっ、もう始まっちゃうのね」という感じ。心の準備が……、服の準備が……。腹も減ったな。もうレストランはラバンラタまでは なさそう。しくったなー、携帯食でも買っておけばよかった。バスが誤算だったよなー。既にお腹クークーのマユゲ、日ごろ昼飯抜きに慣れていて良かった、とこんなところで思う。

 やや涼しげなフレッシュエアの中、ペースを探りながら歩き出す。Tシャツ短パンのままだが、歩けばすぐに汗かくくらい熱くなるもんだし、このままでいいか。

この辺は、ジャングルです。

 ガイドさんと軽く会話を交わしながら歩いていくが、どうもお互い歩きにくい。マユゲ的には、ガイドさんに先に行ってもらおうと、「ついてくモード」で譲りつつ歩いていたのだが、どうやら、向こうも同じ状態だったらしい。ガイドさんもそれに気付いたらしく、先に行けと言ってくれる。登るのは君なんだ、とでも言うかのように。ガイドさんは後ろで見守りながら着いて来てくれるのだ。
 「but,go slowly」
オーケー、分かった。ありがとう。いーち、に、いーち、に、とゆっくりリズムをとりながら、息の切れない程度のスピードで登る。

 しばらく行くと、先に出発していたグループに追いつく。

ゆっくりと登る父と娘。

 背が高く、ちょと太めの西洋のお父さんは、既にキツそうだったが、彼なりのペースで登って行く。霧が立ち込めるジャングルの中、マユゲも自分なりのペースを少しずつ掴み、歩を進めていくのであった。(つづく)
2000年8月15日(火)

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