mayuge の視点 2000 INDEXpastnext

マユゲの夏休み 〜第四章「食文化に触れる」〜



 16時30分、バスに乗る。バスは市内をひっきりなしに通っている。車体には「BAS」との表記(ちなみにタクシーは「TEKSI」)。発音的に言うと、日本語カタカナより、実はかなり正しい。

 車体のサイズは大きく分けて3種類。日本のバスと同じような大きいのと、送迎バスなんかによくある中くらいのやつと、ハイエースクラスの小さいの。

 行き先はその都度運転手に確認して乗る。大きいバスの正面には、行き先案内板がついていることが多いが、「AIR CON」と書いてあったりする。そうそう、エアコンという街があってね、これはそこに行くバス……って、なんでやねん。小さいのにはエアコンついてなかったりするわけです。

 バス停はあるようで、ない。つまり、人がたまって乗る場所はあるんだけど、それ以外の場所でも手を挙げれば乗れるし、また、運ちゃんに言えば、適当なところで降ろしてくれる。見たとこ、多少の寄り道もしてくれるようだ。

 マユゲも運ちゃんに尋ねてみる。このバス、タンジュンアル・ビーチに行く?
 「○×▽♂☆!」
どうやら行くらしい。半信半疑で「BAS MINI」と書かれたこの車に乗り込む。これは、サイズ「M」のバスだね。

 目指すはタンジュンアルという隣り街。ここにはビーチがあり、高級ホテルも建ち並ぶらしい。この旅で唯一ビーチに行けるチャンスだからね。

この後、人がドンドン乗ってきた

 またまた地元民に混じり、揺られること30分。イスラムの学校があるのか、頭に、「こんなんでましたけどー」って言う女占い師がかぶってたような頭巾をつけた女の子たちがたくさん乗ってくる。
 目が合ったのでとっておきのスマイルを送ったが、親のしつけが行き届いているのか、速効目をそらされる。気まずくて窓の外見ちゃったりして……。

 あっちこっち寄り道しているようだったが、無事ビーチへ到着。リゾートリゾートした都市じゃないので、人は少なく、のんびりとしたムードが漂う。

なんかいいでしょ。

 しばらくサッカーボールで戯れる兄弟を眺めてボーっとしていたが、太陽がきれいな色を水面に落しはじめているのに気付く。

静かな海です。

 しばし、その雰囲気に溶け込んでいたマユゲも、大事なことを思い出す。もうじきホテル前の屋台始まるな。立ち上り、歩き出す。ビーチを出ると……、

そこにも屋台が立ち並んでいる。

 ここのも覗いてみよう。

駄菓子と野菜がぎっしり。

 どうやらこの野菜(果物もある)でジュースをつくっているらしい。赤い枠のついた水槽みたいなのがそれである。

 これ、何?  英語は分からないようだ。兄ちゃんは困った笑顔を浮かべながら、もう一人の若い奴に救いを求める。そいつはメガネをかけたインテリっぽい感じの青年。あー、お兄さんお兄さん、これはジュースですか? でもこいつも分からなかった。何か同じ単語を繰り返してる。きっとこのジュースの名前なんだろう。マユゲもマネして
 「○×▽♂☆?」
って言うと、やつらも喜んで
 「○×▽♂☆! ○×▽♂☆!」。
なんか通じたみたい。とりあえず、ひとつちょうだいな。

コップじゃないのね。

 おおっ!? けっこーうまいじゃん。青汁を覚悟していたマユゲはちょっとびっくり。野菜だ。野菜なんだけど、ほんのり甘い。悪くないよ。

 他にもトウモロコシの屋台とかあってニッポンのお祭りのよう。チキンの丸焼きもあるんだよ。超グロテスクで、ちょっと食う気がしないな。

「AYAM」っていうのは鶏のことだって。

 ジュースを飲み終えると、マユゲのお腹は、ちょっと水分摂り過ぎの感じ。スイカだろ、ファンタだろ、あとこの青汁もどきか……、けっこう飲んだな。やばいな、これからビール飲むのに。これは、ちょっと汗かかにゃならんね。

 そんなわけで、帰りはBASには乗らず、歩いて帰ろうと決める。地図を見ると、タンジュンアル・ビーチからコタキナバル市街までは約5キロ。行ける、行ける。プラプラと歩き出す。

 40分ほど歩くと、フィリピーノたちが住むという、水上住宅が見えてきた。ほんとに水の上で生活してる人いるんだねぇ……。

夕陽で水面に家屋の影が映る――

 さらに歩くと、海と反対側に、ガイドブックで見覚えのある山が。

キナバル山です。

 あれか! 明日、あれに登るんじゃん。さすがに東南アジア最高峰。存在感あるね。すっごく、ワクワクしてきた。ここがほぼ海抜ゼロメートルだから、あの山頂と4,000mの高低差があるのか。見えないな。たいしたことないんちゃうの?なんてちょっと甘くみたりして。

 気の大きくなったマユゲ、傷害保険に入ってないのに、

現地の人みたいに横断したりして。

  約一時間ほど歩き、ホテルに戻ってきた。汗かいたわー。お腹も調子いいみたい。スリスリ。あっ! Tシャツにスイカの汁ついてるよ。まいったな。

 ホテル・ラフレシア201号室のシャワーは少々ぬるかったが、飛行機→空港→飛行機→街中→浜辺とずっと着替えずにきただけに、汚れをさっぱりと落せて、生まれ変わったような気分。

 もう20時か。窓から、ホテル目の前の屋台街を見下ろす。かなり混み合っている。でも、たっのしそー。またまたホテルを飛び出す。

どこ座ろっかな?

 全体が見渡せる端っこのテーブルをチョイス、座ってキョロキョロしてみる。すると、耳にペンを差した元気なおっちゃんが飛んでくる。このおっちゃんときたら、やったら歓迎ムードで、丁寧に、やさしく注文を聞いてくれる(しかしオヤジ、会社の先輩、カワイさんに似てるな)。

「いらっしゃーい。さあお客さま、まずはお飲み物かな?いかがしましょっか?」
 ビールくださいな。
「はいはいただ今。おい! そこのウェイター、こちらに大至急ビールお持ちして! さてさてフードは何を召し上がりたいかな?」
 えーっとね、焼き鳥食べたいんすよね。チキン、チキン!
「串で刺して焼くやつでいいかな? マレー語では"サテ"って言います。まずは5本もあればいいかな?」
 オーケー。よく分かってるじゃーん。あと野菜はあります?
「ありますとも、お客さん。炒めて召し上がるとうまいですよ」
 あー、いーねいーね。あとね、エビも食べたいな。
「エビと来ましたね? ウチのシーフードは最高ですよ」
 ちょっと多いかな? ちょっと頼みすぎ? どう思います?
「そーですね、でも大丈夫。エビは小さいピースのをご用意しましょうか?」
 そーそー! そうして!
「あい、分っかりましたぁ!」

 いやー、なんか調子いいね。気分いいね。すぐにビールがやってくる。しかも生ビールギャル(?)が注いでくれるではないの。スンマソーン。アリガトゴザッス。うまい! やっぱ汗かいといてよかった。

野菜のガーリック炒めもいー感じ。

 おっ、今度は焼き鳥が来たぞ。

甘みのあるピーナッツソースをつけて食べます。

 これまた、うまい!あっという間に全部食べちゃった。5 more pieces, Pls!

 シュリンプのオイスターソース炒めも絶品。しかも、ちょっと隙を見せてビールをグラス半分くらい飲むと、生ビールギャルがすかさずやって来て、どんどん注いでくれちゃうんだよ。まんまと2本目の瓶ビールを注文。

 こちらの夜は、予想に反して、日本の熱帯夜みたいな不快さはなく、むしろ夜風が気持ちいいくらい。メシもうまいし、もう、サイコー。これをやりたかったわけよ。

 あーあ、エビ少し残っちゃったよ。でも、もーダメ、もう入んない。満足そうなマユゲを見つけて、「カワイさん」がやってくる。うまかったっす! マジで。カワイさんも喜んでいる。I'm sorry but I cannot eat anymoreなのよ。ん、そーだ、一緒に写真とろうよ。

照れた笑顔を見せる「カワイさん」。

 じゃあ、会計してもらって、もう寝るとするか。明日早いしな。チェックを頼んだところ、billを見てビックリ。これだけ飲んで食って、RM40!センニヒャクエン!? もう、マレーシア万歳。今、さんざん食べたのに、果物屋台でメロン買って部屋に戻るマユゲでした。

 明日はとうとうキナバル登山です。(つづく)
2000年8月14日(月)

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