文●阿部憲二
Text / Kenji Abe



 5ヵ月間に渡って熱戦が繰り広げられてきたNFLも、2日のプロボウルをもって今季の全日程を終了。最終回の今回は、シーズンのクライマックス、スーパーボウルの模様をお伝えします。

第37回スーパーボウル
◇1月26日(日) ◇サンディエゴ
オークランド
レイダース

(AFC西地区1位)
21  得点 48 タンパベイ
バッカニアーズ

(NFC南地区1位)
3 1Q 3
0 2Q 17
6 3Q 14
12 4Q 14

◇スーパーボウル・レビュー◇

守備No. 1に軍配

 攻撃と守備成績のリーグ1位どうしが激突する注目の大一番は、“攻撃的な守備”を看板にするバッカニアーズが終始レイダースを圧倒、チーム創立以来27年目で悲願のスーパーボウル初制覇を果たした。

 DTサップ、LBブルックス、SSリンチなどオールプロ(*1)を揃えるバ軍の強力ディフェンスはこの日も健在。ブリッツ(*2)を多用し相手QBにプレッシャーを掛け続けるアグレッシブなスタイルで、攻撃成績リーグbPを誇るレ軍オフェンスを、TDわずか2本に押さえ込んだ。この日レ軍QBギャノンに浴びせたサックは5回。さらに奪ったインターセプト5回*のうち3回をリターンTDに結びつける*という破壊力だった。
はどちらもスーパーボウル新記録)

 ギャノンをはじめ、WRライス、LBロマノウスキーなどベテランの名選手を抱え、1984年以来のスーパーボウル制覇を目指すレ軍も、得意のパス攻撃を中心に攻撃を組み立て何度も反撃を試みたが、最後までエンドゾーンは遠かった。

 ◇注釈◇
 (*1) オールプロ…NFLのオールスター・メンバー。スーパーボウル翌週にハワイで行われるオールスター戦「プロボウル」に出場する
 (*2) ブリッツ…通常後ろに下がってパスカバーを行う守備の選手が、不意を突いて前にラッシュする戦術

◇スーパーボウル・トピック◇

“グルーデン・ボウル”

 今回のスーパーボウルは、バ軍ヘッドコーチのジョン・グルーデン(39)に話題が集まり、一部では“グルーデン・ボウル”とも呼ばれたほど。

 グルーデンは、4年間ヘッドコーチを務めたレ軍から今季開幕前に移籍。バ軍は彼に800万ドルを支払い、さらに4つのドラフト指名権をレ軍に譲渡するという破格の条件だった。そして頂上決戦は、その古巣との“因縁の対決”となったのだ。

 また、NFL最年少のヘッドコーチである彼は、童顔でありながら常に鬼の形相でサイドラインに立つ姿が印象的。その風貌からTV解説者たちが彼を映画『チャイルドプレイ』の人形になぞらえ「チャッキー」と呼ぶなど、常にメディアの関心を集めた。彼は今回の勝利で、史上最年少で栄冠を手にしたヘッドコーチとなり、話題づくめのシーズンを締めくくった。


歴代2位の視聴数を記録

 展開こそ一方的なものとなってしまったこの試合だが、それでも視聴数は高記録を残した。アメリカのネットワーク局ABCが放送した今回の第37回スーパーボウル、推定で1億3765万の人たちが中継を見たことになるそうだ。これはスーパーボウル史上で2位の数字。視聴率のほうも好調で40.7%を記録、13年連続で40%台を超える結果となった。


カナダ人がスーパーボウルに“出場”!?

 ホイットニー・ヒューストン、マイケル・ジャクソン、U2など毎回ビッグアーティストが登場することで有名なスーパーボウルの「国家斉唱」と「ハーフタイム・ショー」。今回は、試合前のセレモニーでカナダを代表するシンガー、セリーヌ・ディオンが(何故か)「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌い、ハーフタイム・ショーでは同じくカナディアンの女性カントリーシンガー、シャナイア・トゥエインが登場した。


◇その他試合の結果◇

AFCカンファレンス決勝
「タイタンズ 24 - 41 レイダース」
◇1月19日(日) ◇オークランド

NFCカンファレンス決勝
「バッカニアーズ 27 - 10 イーグルス」
◇1月19日(日) ◇フィラデルフィア

プロボウル(オールスター戦)
「NFC 20 - 45 AFC」
◇2月2日(日)◇ホノルル

Oops! Japanese Magazine 2003年2月上旬号掲載記事)
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