文●阿部憲二
Text / Kenji Abe



 シアトル・シーホークスは残念ながらプレーオフ出場を逃してしまいましたが、NFLのシーズンはこれからが佳境。今回と次回は、白熱するプレーオフの模様をお伝えします。


◇1回戦(Wild Card Weekend)ハイライト◇

Game @ ◇1月4日(土) ◇ニューヨーク

インディアナポリス
コルツ

0 - 41
ニューヨーク
ジェッツ

ジェッツ勢いに乗って2回戦進出

 開幕後1勝4敗という最悪のスタートを乗り越え、後半の9戦で7勝を挙げた“ミラクル”ジェッツ。プレーオフ第1戦もその勢いに乗り、コルツに完封勝ちした。

 ジ軍は第1Q、若き司令塔、QBチャド・ペニントンからRBアンダーソンへのパスが56ヤードTDとなり先制。その後も着実に加点、前半終了間際にはWRモスの4ヤードTDパスで24-0とした。後半も、ペニントンからTEベイカーへの3ヤードTDパス、RBジョーダンの1ヤードTDランなどで突き放した。QBペニントンはこの日222ヤードを投げ3TDを奪う活躍。守備陣も要所で2度のインターセプトを奪うなど、攻守ともにコ軍を圧倒した。


 Game A ◇1月4日(土) ◇グリーンベイ 

アトランタ
ファルコンズ

27 - 7 
グリーンベイ
パッカーズ

“怪物”止められずパッカーズ敗退

 “怪物”QBヴィック率いるファルコンズが大金星。1933年以来ホームでのプレーオフ試合は13戦全勝、今季もホーム無敗のパッカーズが、地元でまさかの敗戦を喫した。

 フ軍はヴィックがTDパスを決め先制すると、続く守備では敵ゴール前でのパントブロックからTDを奪い加点。さらにこの後フ軍のパントで審判が判定をミスし、フ軍に攻撃権を与えた。これに対しパ軍のヘッドコーチはビデオリプレーを要求せず、反撃のきっかけを失ってしまった。パ軍はこの日、QBブレット・ファーブが2つのインターセプトを浴びた上に、ファンブルで3度攻撃権を失うなど失態続き。守備陣も縦横無尽に走り回るヴィックを最後まで止められなかった。


Game B ◇1月5日(日) ◇ピッツバーグ

クリーブランド
ブラウンズ

33 - 36 
ピッツバーグ
スティーラーズ

マドックスが大逆転劇を演出

 スティーラーズは最大17点差をつけられながらも粘り強い試合運びで逆転に成功、同地区のライバル、ブラウンズを下した。

 ブ軍は負傷欠場のエースQBカウチに代わり先発したホルコムが好調で、終始リードする展開。しかし地力に勝るス軍は第3Q終盤から反撃を開始。QBマドックスが3つのTDパスを決め5点差まで追い上げると、最後は残り54秒、RBフアマトゥ・マアファラが3ヤードを走りきってTD。地元ファンの歓喜は頂点に達した。残り50秒、ブ軍は再逆転への僅かな望みを託し敵陣29ヤードまで迫ったが、すでにタイムアウトを使い切っており惜しくもここで時間切れ。ス軍が僅差で勝利を手にした。


Game C◇1月5日(日) ◇サンフランシスコ

ニューヨーク 
ジャイアンツ

38 - 39
サンフランシスコ
49ers

24点差はねのけ49ersが劇的勝利

 49ersはジャイアンツ相手に24点差を逆転、同日に行われたもう1試合(GameB)に続き劇的な幕切れのゲームとなった。

 QBコリンズをはじめとする攻撃陣が絶好調のジ軍は、第3Q途中までに38-14と大量リード。これに対し49軍も、QBガルシアとWRオーウェンスのホットラインで2TDを挙げるなど反撃。

 そして第4Q残り65秒、ガルシアが13ヤードTDパスを決めついに逆転。ジ軍も直後、敵陣23ヤードまで前進しFGのチャンスを掴んだが、ここで痛恨のスナップミス。しかしこの際両者に反則があったため再プレーとなるはずだったが、審判がこれを認めずそのまま試合終了。後味は悪いながらも49軍が接戦を制した。


◇2回戦(Divisional Playoffs)ハイライト◇

Game D ◇1月11日(土) ◇テネシー

ピッツバーグ
スティーラーズ

31 - 34 
(OT)


テネシー
タイタンズ

タイタンズ3年ぶりAFC決勝へ

 逆転に次ぐ逆転でOT(オーバータイム)にもつれ込んだこの試合、最後はタイタンズがFGを決め"AFC南北首位対決"をものにした。

 タ軍は第1Q、攻撃の中心QBマクネアとRBジョージがそれぞれランでTDを挙げ14点をリード。一方ス軍も第2Q、QBマドックスからWRウォードへのTDパスとFG2本を決め14-13と迫ると、後半早々RBゼロウェイの31ヤードTDランで逆転に成功する。すると今度はタ軍マクネアがTEワイチェックへのTDパスをヒットし再逆転。

 その後両者が1本ずつTDを取り合い(ス軍は2点コンバージョン成功)、28-28の同点のまま延長に突入。最後はタ軍がFGを決め、白熱のシーソーゲームに決着をつけた。


 Game E ◇1月11日(土) ◇フィラデルフィア

アトランタ
ファルコンズ

6 - 20 
フィラデルフィア
イーグルス

マクナブ復活、注目QB対決制す

 「投・走・賢」三拍子揃った黒人新世代QB2人の直接対決となった注目のカード、制したのは先輩格のマクナブ率いるイーグルスだった。

 イ軍は序盤から試合を支配。第1Qに守備のインターセプトリターンTDで先制すると、FGなどで堅実にリードを広げる。右足首骨折から復活したQBマクナブも、約2ヵ月間のブランクを感じさせない活躍を見せた。第4Qには4thダウン・ギャンブルで35ヤードTDパスを成功させるなど勝負強さも健在。

 一方フ軍のQB"怪物"ヴィックも6回のランで30ヤードを稼ぐなど才能の片鱗を見せたが、リーグ屈指のイ軍守備陣の前にインターセプト2本、サック3回を浴びるなど動きを封じられた。


Game F ◇1月12日(日) ◇タンパベイ

サンフランシスコ 
49ers

6 - 31 

タンパベイ
バッカニアーズ

「最強守備」の前に49ers沈む

 バッカニアーズが誇るリーグ最強守備陣が、49ersの攻撃の柱、ガルシアとオーウェンスのホットラインを完全に封じた。

 バ軍守備は、プロボウル(*)にも出場するLBブルックスを中心にこの日も桁違いの破壊力を見せつける。49軍QBガルシアに終始プレッシャーを掛けつづけ、ファンブルを3回誘発、浴びせたサックは4回、奪ったインターセプトも3つに上った。バ軍は攻撃でも、怪我から復帰したQBブラッド・ジョンソンが2つのTDパスを成功させるなど安定感を見せた。

 49軍ガルシアのメインターゲットであるオーウェンスは、パスレシーブがたったの4回(35ヤード)と不発に終わった。

(*) NFLのオールスターゲーム


Game G ◇1月12日(日) ◇オークランド

ニューヨーク 
ジェッツ

10 - 30
オークランド
レイダース

「ベテラン軍団」レイダースが貫禄勝ち

 優勝候補レイダースがいよいよプレーオフに登場、今季MVPのQBギャノン(37)らベテラン陣の活躍もあり、若きジェッツ相手に勝利を収めた。

 前半こそ同点だったこの試合、後半に入ってレ軍が試合巧者ぶりを発揮する。10-10で迎えた第3Q10分過ぎ、守備のインターセプトで得た攻撃機にギャノンがすかさずロングパスを決めTD。相手の心理状態を読んだ冷静なプレーだった。また、かつてモンタナとともに49ersの黄金期を支えたレ軍WRライス(40)も、試合終了間際にTDパスレシーブを決め健在ぶりを示した。

 守ってもLBロマノウスキー(36)を中心とした守備陣が後半のジェッツ攻撃を完封、総合力の差を見せつけた。


◇今後の見どころ◇

 上位シード4チームが順当に勝ち上がり、19日にAFC、NFCそれぞれのカンファレンス決勝を迎える。スーパーボウルへ出場するのは、そして覇者となるのは果たしてどのチームだろうか。


NFCカンファレンス決勝
「バッカニアーズ @ イーグルス」

1月19日(日) 12:00 (中継 KCPQ FOX)

 堅守を誇る両チームの対決だけに、試合を分けるのはやはり少ない得点機をものにできるかどうかという点だろう。

 その点イ軍は、NFLナンバーワンとの呼び声高いQBドノバン・マクナブの復帰が間に合い有利か。

 バ軍では守備の要、LBブルックスに注目したい。彼のブリッツでどれだけマクナブを苦しめられるか。また、今季開幕前にレイダースからやってきた新ヘッドコーチ、グルーデンのベンチワークにも注目だ。映画『チャイルドプレイ』のチャッキーに似た彼の"怖い顔"が微笑むことはあるのか。


AFCカンファレンス決勝
「タイタンズ @ レイダース」

1月19日(日) 15:30  (中継 KIRO CBS)

 19年ぶりのスーパーボウル制覇を目指すレイダースは、主力選手の年齢からみても今季に掛ける思いは強いはず。

 特に、レ軍生え抜きで15年目のシーズンとなるWRティム・ブラウン(36)のTDパスレシーブをぜひとも見たいところ。その鍵は、今季MVPを受賞したQBギャノンの右手に握られている。

 タ軍で思い出すのは3年前のスーパーボウル。最終プレーで同点を狙ってゴール前に迫るも、わずかに届かず無念の敗退。再びスーパーボウルへ出場し、あの時の悔しさを晴らすことができるのか。

Oops! Japanese Magazine 2003年1月下旬号掲載記事)
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