文●阿部憲二
Text / Kenji Abe
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◇12月後半のハイライト◇
地元最終戦は終始リードで快勝
第16週は同地区のライバル、セントルイス・ラムズを迎えての地元最終戦。ラムズは99年シーズンの王者で、昨季もスーパーボウルに出場した強豪だ。しかし今季は開幕からよもやの5連敗。さらにエースQBで優勝時のスーパーボウルMVPでもあるワーナーが負傷により戦線離脱、苦しいシーズンとなった。
第1Q早々、その"手負い"のラムズにシーホークス守備が襲い掛かる。相手QBバルジャーにサックを浴びせ負傷退場に追いやると、次のプレーでは相手RBがファンブルしたボールをシアトルがリカバー。続けざまのビッグプレーに地元観衆は歓喜の渦だ。続く守備でも、ゴール前で敵の4thダウン・ギャンブル(1stダウン獲得まで残り1ヤード)を止めて攻撃権を奪い返した。
攻撃では第2Q、RBアレクサンダーが密集を抜けてロングゲイン、続いてTEスティーブンスへの鮮やかなロングパスが決まる。最後はアレクサンダーが1ヤードを走ってTD、13対3で前半を折り返す。
後半に入ってもシーホークスの勢いは止まらない。Sタングのインターセプトで得たチャンスを、アレクサンダーがこの日2つめとなる1ヤードTDラン。この後もQBハッセルベックがロビンソンやスティーブンスといった成長株のレシーバー陣へミドルパスを成功させ、テンポよく攻撃を組み立てる。
第16週◇12月22日(日)◇シアトル |
シアトル
シーホークス
(6勝9敗)
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30 - 10 |
セントルイス
ラムズ
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圧巻だったのは第4Q残り12分すぎのプレー。ハッセルベックからのパスは、右サイドライン際、エンドゾーン目掛けて走るWRジャクソンへ。敵ディフェンダーを絶妙のポジショニングで制したジャクソンがエンドゾーン内でこれをキャッチ、38ヤードのTDレシーブとなった。TFP(*1)のキックも成功して30対10、試合を決めた。
延長勝ちで有終の美飾る
レギュラーシーズン最終の第17週は、敵地サンディエゴでのチャージャーズ戦。両チームともにプレーオフ出場の夢は絶たれてしまっていたが、試合は互いに一歩も譲らない好ゲームとなった。
立ち上がりに長短6本のパスなどで前進、TDで先制したシーホークスに対し、チ軍も前半のうちにTDとFGを返し逆転。後半にもさらにFGとTDを1本ずつ奪って突き放す。
13点差となったここから、シアトルが反撃開始。QBハッセルベックからTEミリへ49ヤードのパスが成功し一気に前進。ここでアレクサンダーが2ヤードを走ってTD、14対20の6点差まで追い上げる。直後にTDを返し14対26点としたチ軍は、ここで2点のTFP(*1)を成功させ14対28。それでも諦めないシーホークスはWRロビンソンへのTDパスで応酬、キックも成功して21対28と迫る。
続くチ軍の攻撃をパントに終わらせたシアトルは、残り3分32秒で再び攻撃権を得る。このシリーズ、3rdダウン・コンバージョン(*2)を2度、4thダウン・ギャンブルを1度乗り越え、90ヤードを前進。最後は残り5秒でQBハッセルベックが自らエンドゾーンに飛び込み、TD。キックも決めて土壇場で同点とした。
第17週◇12月29日(日)◇サンディエゴ |
シアトル
シーホークス
(7勝9敗)
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31 - 28
(OT) |
サンディエゴ
チャージャーズ
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オーバータイム(延長)にもつれ込んだこの試合、最後はシアトルのKリンデルが24ヤードFGを決めて勝負あり。シーホークスは2週前のファルコンズ戦に続く延長逆転勝ちでシーズンを終えた。
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来季に期待だ、シーホークス!
シーズンも終盤になって攻守が噛み合ったシーホークスは最後に3連勝、今季を7勝9敗の成績で終えた。残念ながらプレーオフ出場はならなかったが、その戦いぶりは来季への期待を抱かせてくれる。
QBハッセルベック、RBアレクサンダーを軸に、若手レシーバー陣が台頭してきているオフェンスは他チームに決して引けをとらない。問題はディフェンス、早急な建て直しが必要だ。オフシーズンは、ドラフトで有望な守備選手を獲得できるかに注目していきたい。そして来季もカモン!!
Seahawks!
(次号からの2回はプレーオフの模様などをお伝えします)
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◇注釈◇
(*1) TFP…「トライ・フォー・ポイント」の略。タッチダウンを獲った後にボーナスとして与えられる1回だけの攻撃のこと。ゴール前3ヤードから開始し、キックを決めれば1点、普通に攻撃してタッチダウンすれば2点が与えられる。「ポイント・アフター・タッチダウン」「エクストラ・ポイント」とも呼ばれる。
(*2) 3rdダウン・コンバージョン…1st〜2ndダウンの攻撃で次の1stダウンを獲得できずに、3rdダウンになって1stダウン更新を狙うこと。失敗すると次は最終(4th)ダウンとなってしまうので、ぜひとも決めたいシチュエーション。
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第5回: ディフェンスの戦術 「ブリッツ」
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「攻める」ディフェンスと「引く」ディフェンス
ディフェンスが相手のパス攻撃を想定して守るとき、大きく2種類の戦略がある。1つは、下がってパスカバーを行う人数を増やす"待ち受け型"。もう1つは、パスカバーの人数を減らす代わりに相手QBにラッシュする数を増やしてパスの精度を落とさせる"アグレッシブ型"だ。
後者で使う戦術が「ブリッツ」だ。通常はディフェンス・ライン(1列目)の選手だけがラッシュするところを、ラインバッカー(2列目)やセカンダリー(3列目)もラッシュに参加させるのだ。パス・プロテクションする(QBを守る)相手選手より多い数のラッシュを入れれば、誰かがフリーでQBにプレッシャーを掛けられる。あわよくばQBサック、それが駄目でもパスのコントロールを乱れさせてインターセプトを狙える。
これからの試合はこの「ブリッツ」の激しさも増すだけに、守備の2列目以降にいる選手の動きにも注目だ。
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◇プレーオフ特集◇
プレーオフ2003
スーパーボウルへの道
いよいよ4日からNFLのプレーオフが始まる。16試合のレギュラーシーズンを終え、スーパーボウルへ向けた戦いに名乗りを上げたのは12チーム。彼らがすべてを賭けて戦うこれからの試合は、アメフトを知らない人でも一見の価値あり。1月の週末は白熱のゲームでヒートアップしよう。
ニューヨーク2チーム、揃い踏み
AFC
最終週までサバイバル・レースを展開していたAFC。特に東地区は最後まで劇的だった。昨季スーパーボウル覇者のペイトリオッツは、ドルフィンズ相手に最終戦で逆転勝ちを収めたものの、直後のゲームでジェッツも勝って9勝7敗で3チームが並んだ。同勝率の場合、対戦成績などにより地区優勝が決まるが、なんとその行方はNYジェッツ。開幕後1勝4敗と出遅れたチームが驚異の粘りで這い上がってきた。
NFC
一方、NFCの「NY」もドラマチックな勝利でプレーオフに滑り込んできた。毎年、好不調の波が激しい古豪NYジャイアンツ、今季は13週終了時点で6勝6敗の成績だったが、最後にしぶとく4連勝。特に最終17週のイーグルス戦では、何度も決定機を逃しながらも諦めず、最後は決勝FGを叩き込んでワイルドカードでのプレーオフ進出を決めた。
ゴジラ松井が乗り込む街は、一足先にフットボールで盛り上がるはずだ。
TV放映予定
ワイルドカード・ウィークエンド |
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1月4日(土) |
@1:30 pm (PT) |
KOMO ABC |
AFC「コルツ@ジェッツ」 |
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A5:00 pm (PT) |
KOMO ABC |
NFC「ファルコンズ@パッカーズ」 |
1月5日(日) |
B10:00 am (PT) |
KIRO CBS |
AFC「ブラウンズ@スティーラーズ」 |
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C1:30 pm (PT) |
KCPQ FOX |
NFC「ジャイアンツ@49ers」 |
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ディビジョナル・プレーオフ |
(表の※、対戦カードは変更の場合あり) |
1月11日(土) |
1:30 pm (PT) |
KIRO CBS |
「AFCのゲーム」 |
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5:00 pm (PT) |
KCPQ FOX |
「NFCのゲーム」 |
1月12日(日) |
10:00 am (PT) |
KCPQ FOX |
「NFCのゲーム」 |
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1:30 pm (PT) |
KIRO CBS |
「AFCのゲーム」 |
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(Oops! Japanese Magazine 2003年1月上旬号掲載記事)
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