文●阿部憲二
Text / Kenji Abe



◇12月前半のハイライト◇

イーグル守備、強し

 8日の第14週、シーホークスは地元でフィラデルフィア・イーグルスと対戦。イ軍はNFC東地区の首位をひた走る強豪。正QBのマクナブを負傷で欠きながらも着実に白星を重ねている。

 この強敵に対し挑戦者シーホークスは、第1Q(クォーター)に2つのFG(フィールド・ゴール)で6点を先制するなど、地元ファンを喜ばせる立ち上がり。しかしここからは実力の差が露呈してしまう。リーグ屈指の強さを誇るイ軍ディフェンスに再三のビッグプレーを許し、前半終了時点で20対6と大きく逆転される。

第14週◇12月8日(日)◇シアトル

シアトル
シーホークス
(4勝9敗)

20 - 27
フィラデルフィア
イーグルス

 後半に入りシーホークスも、QBハッセルベックからWRロビンソンへの8ヤードTD(タッチダウン)パスを決めて反撃を開始。試合終了間際にもルーキーTEスティーブンスへの11ヤードTDパスを成功させて追い上げるが、時すでに遅し…。27対20の僅差で、今季9つめとなる黒星を喫した。


ファルコンズに粘り勝ち

 翌第15週はアトランタ・ファルコンズと敵地で対戦。フ軍は、スピードとパワー溢れるランで評価急上昇中の若手QBヴィックがオフェンスを率いる。チーム自体も、ワイルドカード枠(前回コラム参照)でのプレーオフ出場を狙っておりモチベーションは高い。

 その強敵を相手にシーホークスはこの日も先制。第1Q早々、CBルーカスのインターセプトで得たチャンスをRBアレクサンダーの3ヤードTDランに結びつける。ところが問題は直後のキックオフ。フ軍リターナーのロッサムに、なんとキックオフリターンTDを食らってわずか1プレーで同点とされてしまう。その後も4thダウン・ギャンブル失敗(*1)、QBハッセルベックがサックされてファンブル…という悪運続きで、前半を17対7の10点ビハインドで折り返す。

 後半のシーホークス、まずは攻撃陣がTEスティーブンスへの5ヤードTDパスを決め追い上げると、守備陣も奮起。先ほどのお返しとばかりにヴィックへサックを浴びせ、ファンブルさせたボールをCBウィリアムスが拾ってエンドゾーンへ。このディフェンスのTDで21対17と逆転に成功する。第4Qは、FGで加点したシーホークスに対しフ軍も残り17秒でTDを返して24対24の同点のまま終了。試合は、サドンデス方式のOT(オーバータイム=延長戦)へ突入した。

第15週◇12月15日(日)◇アトランタ

シアトル
シーホークス
(5勝9敗)


30 - 24
(OT)

アトランタ
ファルコンズ

 OT最初のシリーズ、フ軍はシアトル陣深くまで進んでFGを狙う。これが入れば試合終了という場面だ。しかしここでフ軍キッカーのフィーリーが、36ヤードのFGを外すという失態。このチャンスでシーホークスは着実に前進、最後は密集を抜けたアレクサンダーがそのままエンドゾーンに走り込んで、見ごと“再逆転サヨナラTD”。粘り強い試合運びで、今季5勝目(9敗)を挙げた。


◇プレーオフの展望◇

[NFC] 4チームがプレーオフ出場決定

 東地区でフィラデルフィア・イーグルス、北地区でグリーンベイ・パッカーズ、西地区(*2)でサンフランシスコ・49ersがそれぞれ地区優勝を決めており、残る南地区もタンパベイ・バッカニアーズが優勝にほぼ大手をかけた状態。

 ワイルドカード2枠をめぐっては、東地区のNYジャイアンツ(8勝6敗)、南地区のニューオリンズ・セインツ(9勝5敗)、アトランタ・ファルコンズ(8勝5敗1分)が三つ巴の戦い。


[AFC] し烈なサバイバルレース中

 一方こちらは全16チームのうちの13が7〜9勝の成績で並ぶ混沌とした状態。昨シーズンのスーパーボウル王者で、現在東地区の2位につけているニューイングランド・ペイトリオッツ(8勝6敗)でさえ、残る2試合の結果によってはこのサバイバル・レースを勝ち抜けない可能性も。

◇注釈◇
(*1) 4thダウン・ギャンブル…普通4thダウンではパントを蹴ったりFGを狙ったりするが、通常のプレーを選択して1stダウン獲得を狙うこと。失敗すると相手に有利なポジションを与えてしまうので、リスクが伴う。 
(*2) NFC西地区は、シアトル・シーホークスが所属するディビジョン。

第4回: スーパーボウルって?

全米王者を決するビッグゲーム

 NFLには「AFC」と「NFC」、2つのカンファレンス(野球のア・リーグ、ナ・リーグのようなもの)があり、それぞれが東西南北4つのディビジョン(地区)に分かれている。各地区には4チームずつが所属、NFL全体のチーム数は32に上る。 

 レギュラー・シーズンは毎年9月から始まる17週で、各チーム1回のオープンデート(試合のない週)を挟み、全16試合を消化する。年明けから開始されるプレーオフへは、「A」「N」各カンファレンスの地区優勝4チームずつの他に、勝率上位の2チームずつがワイルドカード枠で出場。この計12チームでトーナメントを戦い、最後に「A」「N」のチャンピオンどうしが対戦する。これが全米王座決定戦「スーパーボウル」というわけだ。


指名手配犯だって観たい

 スーパーボウルが行われるのは毎年1月の最終日曜日。この日は「スーパーサンデー」と呼ばれ、アメリカ中がこのビッグイベントの話題一色になる。毎年、テレビ中継の平均視聴率は40%を超え、CM料金は30秒でなんと200万ドル(約2億4千万円 *前回時の推定金額)にもなるという。

 また、かつて警察の捜査チームが逃亡中の指名手配犯宛に「あなたにスーパーボウルのチケットが当たりました!」という知らせを撒いたところ、続々と集まってきたという話も。それほどまでにアメリカ人を熱狂させるスーパーボウル、第37回目となる今回は、1月26日にサンディエゴで行われる。今までアメフトと縁がなかった人も、一度このお祭りの雰囲気を味わってみてはどうだろうか。


Oops! Japanese Magazine 2002年12月下旬号掲載記事)
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