文●阿部憲二
Text / Kenji Abe
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◇11月前半のハイライト◇
呪われてんの? 主力の負傷続く
前半戦を2勝5敗で折り返したシーホークス。3日の第9週は、ホームでワシントン・レッドスキンズと対戦した。
第9週◇11月3日(日)◇シアトル |
シアトル
シーホークス
(2勝6敗)
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3 - 14 |
ワシントン
レッドスキンズ
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1TD(タッチダウン)を先制されて迎えた2回目の攻撃シリーズ、QBハッセルベックはエースRBアレクサンダーのラン、TE(*1)ミリへのパスを中心に攻撃を組み立て、敵陣10ヤード地点まで前進したが攻めきれない。最後はK(キッカー)リンデルがFG(フィールド・ゴール)を決めたものの、結局この試合でシーホークス・オフェンスが得点したのはこの3点のみ…。ディフェンス陣が相手攻撃を2TDに押さえる健闘を見せたが、お寒い攻撃に泣き14-3で惜敗。
しかもこの日、プロボウル(*2)出場3回を誇るシーホークスの数少ないスター選手、LB(*3)チャド・ブラウンが右足を骨折。前週に負傷したエースQBディルファーと同様、今シーズンの出場は絶望となってしまった…。
神のご加護? ビッグプレー連発
続く第10週は、敵地アリゾナに乗り込んでのカージナルス戦。第2週にホームで敗れたこの同地区ライバルとの雪辱戦で、シーホークスは意地を見せてくれた。
第10週◇11月10日(日)◇フェニックス |
シアトル
シーホークス
(3勝6敗)
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27 - 6 |
アリゾナ
カージナルス
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試合開始早々まずFGで先制すると、続くシリーズでRBアレクサンダーが5ヤードTDラン。さらにFGで加点した後の第2Q(クォーター)、シーホークスのS(*4)フラーが相手のパスをインターセプト。これで得た攻撃シリーズでもルーキーTEハナムへのTDパスに成功。序盤こそパスミスの多かったQBハッセルベックだが、WR(ワイド・レシーバー)ロビンソンやTEミリへのショートパスでリズムをつかみ、前半だけで27得点を挙げる猛攻を演出した。
一方、現在NFLラン守備部門で最下位という情けないディフェンス陣もこの日は奮闘、要所でビッグプレーを連発する。第3Q、ゴール前1ヤードまで攻め込まれての守備でシーホークスDTバーナードが渾身のタックル。これで相手RBがファンブルしたボールをリカバーし(こぼれたボールを押さえること)、ターンオーバー(*5)。なんと次の守備シリーズでも、自陣6ヤードのピンチでファンブル・リカバーが飛び出した。これらが効いて後半は見ごと完封、今季3勝目へ結びつけた。
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◇注釈◇
(*1)TE…タイトエンド。RBの走路を開けるブロックとパスキャッチ両方の役割を担うポジション
(*2)プロボウル…NFLのオールスター戦。王者決定戦スーパーボウルの翌週にハワイで行われる
(*3)LB…ラインバッカー。相手のラン、パス両方を止める守備の中心ポジション
(*4)S…セイフティー。守備の最後の砦。主にパスカバーを担当する
(*5)ターンオーバー…インターセプトやファンブル・リカバーで攻守が入れ替わること
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第2回: 「ディフェンスのビッグプレー」
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スリリングな瞬間を見逃すな!!
インターセプト
オフェンスのパスをディフェンスの選手がキャッチすること。この瞬間から攻守が逆転、ディフェンスがボールを持って走ることができる。インターセプトした選手がタックルされても、今度はその地点から味方オフェンスが攻撃を始められる。
どっちに転ぶか分からない!?
ファンブル・リカバー
ボールを持っていた選手がファンブルした場合、攻撃権はリカバーしたチームのものとなる。そのまま拾って走ることもできるが、アーモンド形のボールはどの方向に転がっていくか分からない。大勢の選手が抱きつくようにしてボールに群がるのはそのためなのだ。
ディフェンス・ラインのエクスタシー
クォーターバック・サック
ディフェンスの選手がラッシュして相手QBをロス・タックル(後退させて倒す)すること。相手の「顔」を潰すこのプレーは、守備ラインの選手にとって最高の勲章。地元でサックを決めて割れんばかりの大歓声を浴びるのは、彼らにとって至福の瞬間なのだ。サック数は記録としてもカウントされる。
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(Oops! Japanese Magazine 2002年11月下旬号掲載記事)
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