mayugeのダラダラ放浪紀 ニッポン人が無性に憧れる国。イタリア (Italy)

「ローマ」篇 その1 (Rome-1)


 宿多くとも、労もまた多し。でも大沢たかおと「同宿」

 2001年6月14日(木)、チェックアウト前の身軽なうちに次の宿を決めようと早めに起きたものの、内側からのいわゆる“ロックアウト”の状態で、身動きが取れないというハプニング。前夜から宿泊したホテルは、雑居ビルのワンフロアを使っているのだが、ビル共有の階段に面したホテルのドア鍵が閉められていて、従業員が起きてきて開けるまでは外に出れないというわけ。そのため少々スタートが遅れてしまったものの、新たなホテル探しを開始。

 ローマでもう二泊し、次回の出発はローマ・テルミニ駅早朝発の列車となるため、今度もまた駅近くで看板を頼りに歩く。まず当たった二軒は空き部屋なしでダメ。次は高くてダメ。その次に訪れたホテルでは、そこ自体に空き部屋はないものの、家族が経営する別のホテルならあるというので、ホテルのおばちゃんと一緒に部屋を見に行く。しかし値段とつりあわず申し訳ないがダメ……。これはギリシャからだが、やはりヨーロッパともなると今までとは違って物価が高くなってる。そんなことをつくづく思いながら、安宿が多いと言われる通りをぶらつく。

 そして何気なく通りかかったとある古そうな建物の中庭にバックパッカーが数人たむろしているのが目に入った。どうやら出発しようとしている様子。よし、これなら空きがでそうだ。ここも今までまわったところと同様、雑居ビルにいくつかのホテルが入っているようなところなのだが、そこで目に付いたのが地味ーなペンショーネの看板。他の派手な電飾看板にひっそりと隠れている感じで期待が持てる。

 さっそく階段を上がって、シングルの空き部屋があるかレセプションのおじさんに聞くと、彼は何も言わずこわーい顔しながら宿帳をめくる。先ほど出ていったグループが泊まっていたのか、レセプションの横の開いたドアからツインの部屋が見える。古いがシンプルで小ぎれいといった感じ。おじさんの顔に目を戻すと表情は相変わらずこわーいままなので、やっぱり駄目かなと一瞬思ったが、答えは「YES」。値段も高くない。しかしまだ前の客が出発する前なので、部屋に入れるのは午後になるという。ノープロブレムでしょ、この際。おじさんは意外なことに、一応聞いてみたディスカウントにも応じてくれた。もう、実はいいひとなんだからー。さらに、レセプション横のボードに貼られている宿泊客との記念写真のなかに、なんとあの大沢たかおを発見するというおまけまでついた。

 ローマ散策開始!


噴水が涼しげで何より……
◆共和国広場

 大荷物を新しいいホテルに移した後は、ローマ散策に出発。この日はローマ市内のうち北部を中心に歩くことにした。遅い朝食の後まずはテルミニ駅から北西に歩いて共和国広場を抜ける。

 観光客にまじって歩いているイタリア人ビジネスマンたちは、とにかくスーツ姿が恰好いい。しかも、通りがかったいかにも「イタリア駐在商社マン」といった風の日本人の男性も、スーツの着こなしがすっかりイタリアンテイストになっているので何だかおかしかった。
◆「骸骨寺」


その寺はおしゃれな通りにいきなりある
 ヴェネト通りで左に折れ、両脇から伸びる並木が影を落とすなだらかな坂をカーブを描きながら降りる。歩道にはカフェのテーブルが並んでいたりして雰囲気がある通りだ。そしてまず訪れたのが「サンタ・マリア・インマコラータ・コンチェツィオーネ教会」という、噛みそうな名前の教会。ガイドブックによると別名「骸骨寺」とのこと。こんな通りに骸骨ですか。入口で心づけを渡し、さっそく中に入る。

 狭い通路の横には小部屋がいくつか並んでいて、それぞれにその別名通り無数の骸骨が並ぶ。大腿骨や腰骨で枠組みを作り、頭蓋骨から足の指の骨まで揃った全身の骸骨がそれを飾り付けているのだ。これがまた薄汚れた頭巾付きの僧衣をまとっていて、やや手前に倒れ掛かってお辞儀をしているようなのがいたり、大腿骨で作ったベッドに寝そべってるのがいたりで、とにかく気味が悪い。「お辞儀の人……、フッと顔を上げたりしないでね」と祈りながら進む。骸骨たちに気を取られていると見落としそうだが、見学者の足元の土に並んで刺さっている十字架と、その数だけある土の盛り上がりには何ともいやーなものを感じる。

 すると一番奥の部屋に、「サボっている」輩を発見。その僧衣を着た骸骨は、やはり“骨のベッド”に横になっているのだが、顔(頭蓋骨)を少し横に向け顎が若干上がり気味の状態で、口を半開きにしている。どう見てもうたた寝しているとしか思えない。この骸骨には笑ってしまいそうになったが、本当にいびきが聞こえると恐いのでここで退散した。それにしても、この教会内が写真撮影禁止なのは、やっぱり何かが写ってしまうからなんだろうか。

いたるところにこうした広場がある
◆バルベリーニ広場

 薄暗い教会を出て坂を下りきったところが、バルベリーニ広場。

 イタリアにはこうした広場が随所にある。そこだけすっぽりとビルがなくなり、車も脇をまわって通っていく。我々観光客も一休みしたりできるのだが、地元の人たちも待ち合わせに使ったりしているようだった。都会にこういうスペースがあるとギスギスしなくていい。

彫像も水浴びするほど暑い
◆スペイン広場


うわっ、人だらけ
 バルベリーニ広場から北西にまっすぐ延びる坂を登りきったところが「トリニタ・ディ・モンティ教会」(これはまだ読みやすい)。そしてこの教会の前に広がるのが、あの「スペイン階段」だ。マユゲもさっそくゆっくりと降りてみる。

 世界で最も有名な階段のひとつだけに、階段自体にも、それを見上げるスペイン広場にも、無数の観光客がごった返している。映画『ローマの休日』で髪をバッサリ切ったアン王女がジェラートを頬張ったこのスポット、やはり世界中の女の子の憧れの地なんだろうか。各国のおばちゃんたちも大喜びで記念撮影に興じていた。

飲食禁止なのでオードリーにはなれないのです
 青空をバックに聳え立つ教会と塔、そして白亜の石で優雅にデコレートされた階段。しかしこりゃ、映画になる場所だわ。映画では白黒だったけど、こうしてカラーで見てみるとまた一味違っていいもんである。
◆コンドッティ通り


おじいちゃんもジャケットをじーっと眺める
 さて、スペイン広場から延びるコンドッティ通りに入ってみる。ここにはフェラガモをはじめとするブランドショップが軒を連ねる。なもんで買い物袋をいくつも下げた観光客たちが行き来しているのだが、マユゲが目に付いたのが地元の男性陣。

中年サラリーマンもネクタイ選びに夢中
 とにかくこちらの男性陣はみなおしゃれ。若い奴はもちろんのこと、驚いちゃうのがおじさんやおじいちゃんたちのカッコよさ。白髪のおじさんだって、大きめの襟のシャツを胸元をちょっと見せて着ちゃったりするわけ。「まだまだ現役」という感じなのである。またそういう色気というか洒落っ気というか、自分はまだまだ人生楽しんでやるぞ、っていう気持ちがいいと思う。日本で援交してるアホギャルたちも、このおやじたちになら自分たちが金を払うことだろう。

「バス停」って意味だったのか
 コンドッティ通りから左に折れ、中央郵便局のあるサンシルベストロ広場へ向かってさらに左折。ここで目に付いたのがこの看板。「フェルマータ」ってどこかで聞いたことあるなと思ったら、会社員時代に先輩に連れていってもらったイタ飯屋の名前だ。バス停のことだったとは知らなかった。そういえばあの店の前にもバス停があった気がする……。今度日本に帰ったらもう一度行ってみよう。

ピスタッキオのジェラートはうまかった
 コンドッティ通りで買った絵はがきの文面を書くため、郵便局近くのトラットリアへ。オープンエアのテラスで、カプチーノとジェラートを頼んで一息つく。こうしてちょっと座って休みたいときは、広場の隅の階段に腰掛けるか、「トラットリア」や「ピッツァレラ」に入ることになる。一休みに「リストランテ」はもったいない。「バール」という手もあるのだが、座って飲むと立ち飲みの倍くらいの値段になるし、いまいち落ち着かないのでこういうことになるのだ。普通の安い喫茶店はないのか!?
◆トレヴィの泉


うえっ、ここも人だらけ……
 絵はがきを投函後、また街歩きを開始。そして向かった、これまた有名観光スポット、「トレヴィの泉」。やはりここもスペイン階段以上の人込みだった。

 後ろを向いてコインを投げ入れると再びローマを訪れることができるという伝説は観光客の常識となっている様子で、皆、泉近くの座れるスペースが空くのを狙っている。ちょこっと隙間が空くとサササッとけつのでかいおばちゃんが入り込む。そしてニッコリ笑ってコインを背後の池に向かって投げ、その姿勢で止まる。シャッターを待っているのだ。被写体の肌の色は次々に変わるが、似たような光景が何度となく繰り返されていた。

皆、後ろを向いてコインを投げまくる
 ちなみにコインを投げる数によって、それぞれ叶えられる願いがあるらしい。一つだと「ローマを再訪できる」、二つだと「好きな人と結ばれる」、三つで「嫌いな人と別れられる」のだとか。新婚旅行の新郎が知らずに三つ投げちゃったりしようものなら、「ローマ離婚」なんてことになりかねない。ハネムーンでローマに行く輩は十分に注意すべし。最近では四つ投げると「新しい恋人ができる」なんてふざけた願い事までできたとか。これをやった場合は、「トレヴィ再婚」か。
◆パンテオン


パンテオン前も広場になっている
 さてさてまた歩こう。トレヴィの西にあるローマ大学の建物を迂回するとパンテオンの前に出る。パンテオンとは「すべての神々の神殿」という意味の建物らしい。列柱が並ぶ直線的な正面に対し、奥は円柱状のホールになっている。その天井はドーム状になっていて、ここの特徴はその天井に穴が空いていることだ。

パンテオン前の噴水

天井から光が射し込んでくる

射し込む光がスポットライトになる
 キリスト教にまつわるフレスコ画や彫像が並ぶ堂内に入ると、天井の穴からの光がスポットライトのようになって射し込んでいるのが分かる。そこで記念撮影するのがここの流行りらしくて、これまた入れ替わり立ち代わり"ステージ"にはポーズをとる人たちが……。普段キリスト教芸術にはなじみがないものの、寺好きなマユゲとしては、「ほほーん、こういうのもまたいいもんだねえ」と感心してパンテオンを出る。
◆ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂 (ヴェネツィア広場)


記念堂の前はヴェネツィア広場

反対から見るとこう

柱、床、壁。その全てが石でできている

それぞれのおしりの向きでローマを眺める
 パンテオンから再びローマ大学を迂回しコルソ通りを右折すると、通りの突き当たりに白い巨大な建物が見えてくる。「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念会堂」だ。近づくにつれその異常な大きさがより感じられる。

 このヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂というのはイタリア統一を記念して1911年に建てられたとか。第一次世界大戦前ということか。まあ、ローマの歴史にしてみれば「最近」できただけに、その白い石でできた建物はまだとてもきれいだ。それでもその形状のために、地元ローマ市民たちからは「ウェディング・ケーキ」とかか「タイプライター」などと呼ばれているらしい。いかにもイタリア人らしい。

 記念堂には階段があって、中ほどのテラスと、さらにその上の列柱回廊の部分まで上がることができる。階段を上がりかけると、朝、宿の近くで会って挨拶をした日本人の男性と再会。彼はこの日が旅のスタートで、これからナポリなどに行くとのこと。それにしてもこうして旅をしていて会う日本人は、約九割が関西弁である。ドイツ人と関西人は本当に旅好きだ。

 最上部の列柱回廊には屋根があって、ローマを歩き回って疲れた旅人がひと休みするにはもってこいの場所になっている。マユゲもベンチに座ってしばし涼しげな風を楽しむ。各国からの観光客たちが、眺めのいいこの場所で同じようにくつろいでいるのが何ともヨーロッパ観光の華、ローマらしくていい。

コロッセオも見える
 列柱回廊の片方の端からは「ヴァチカン市国」が、もう一方からは「フォロ・ロマーノ」や「コロッセオ」が一望できる。ここからの眺めはまさに一級品。かつてあのカエサルなど、歴代の皇帝たちが演説をしたのがあの丘か……と感動しながら眺めてしまった。

衛兵は笑っていた
 眺めを堪能したあとは、再び階段を降り、いかにもイタリアっぽい衛兵に「挨拶」をして宿へ向けて歩き出す。


ナッカータの写真はトッティよりもでかい!?
 ヴェネツィア広場から、ローマの目抜き通りであるナッツィオナーレ通りを北東に向かってまっすぐ行くと、スタートした共和国広場に至る。共和国広場の手前で右に折れ、オペラ座の前を通って宿のある通り「Via Principe Amedeo」に入る。そのなかにスポーツ用品店があったので、なんとなく入ってみる。するとさすがローマ、正面の柱にASローマのユニフォームと、ある選手の大きなポスターがあった。

 ンンンナッカァータァ!!

 さすがヒデ。トッティより写真がでかいのは日本人観光客を意識してのことであろうが、確実にローマの主力選手扱いされている様子が伺える。これはひとつ記念に「ナッカータ・シャツ」を買っておくか。来季は移籍の噂もあることだし。それにしても、日曜の試合、「ローマvsパルマ」戦が楽しみだ。


 2001.06.14 ローマ にて

BACK
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送