mayugeのダラダラ放浪紀 誰が言ったか「やすらかなる国」、タイ〜PART2 (Thailand 2)

「サムイ〜バンコク」篇  ( Koh Samui → Bangkok )


さよなら、ビーチリゾート……

 2001年3月15日(木)。サムイ島、七日めにしていよいよこの地を後にする。最後に二泊したSUN SPLASHのマネージャーはヨーロピアンの若者。はじめはこの地に旅行者としてやって来るうちにその魅力に惹き込まれついにはバンガロー経営を始めるに至ったのだろうか。もしそうなら、きっと現地に住んでいてホテル業を始めるよりもずっと旅行者が何を必要としているかをつかむことができるだろう。商売にとってはひとつの武器だ。

 さて、リゾートを満喫しつつも、隙を見て近くの旅行代理店でバンコク行きを手配していたマユゲは、まずはここサムイからの脱出第一手段であるフェリー乗船のため、ナ・トンへ向かう。宿の前のビーチ・ロードで手を挙げ乗合タクシーに乗り込むと、ROVERの旧式車両がいまだ現役で活躍しているのを目撃(写真右)。

 タクシーの乗客ははじめマユゲと日系アメリカ人らしき二人組だけだったのだが、あちこちで停車しつつ次々に客を詰め込み最終的には後ろの手摺にしがみついて乗る人まで現れる状態でナ・トンに到着。

 ナ・トンの桟橋横で下車すると、どうやら着いたばかりらしい船から大勢のバックパッカーたちが沸いて出てくるのが見えた(写真右・Pls.Roll Over!)。

 今のようなシーズン中は、こうやって毎日のように観光客が押し寄せてくるのだろう。繰り返される集団移動の中に組み込まれているようで、ちょっと窮屈な感じを覚えてしまった。

 ここからは一度バスに乗って、少し南へ下った別の港からバスごとフェリーに乗り込む。フェリー内ではバスから一度降りられるが、対岸のドンサク港で再びスラー・ターニー駅行きのバスに乗車するという流れだ。スラー・ターニーには空港もあるので、間違って空港行きバスに乗らないように注意しなければならない。

 それにしてもバスの出発時間まではまだ時間がある。そこでナ・トンの街中を少しダラついた後、昼食のため海沿いのレストランに入った。オープンエアのテラスにあるテーブルからは遠浅で波の静かな海が見渡せる。波が立たないので水の透明度も高い。

 これで南国のビーチも見納めか。

 ランチを食べ終えた後も、時折モトバイがゆっくりと通り過ぎていくとてものどかな光景を、目に焼き付けるように眺めるマユゲであった。

フェリーで海峡越え

▲後ろを見れば、サムイ島の影が遠ざかっていく

 午後1時30分、バスがナ・トンを出発。20分ほどでバスはすぐにフェリー港に到着。乗客たちはみな小さなバッグを手にバスを降り歩いてフェリーに乗り込んでいく。彼等の大きな荷物は積んだままのバスも、順番を待って乗船する。

 このサムイ〜バンコク間のバスというのは盗難が多いことで有名らしい。特にこのフェリー乗船中に車内の荷物から金品などを抜かれることが多いとの噂。マユゲの場合、貴重品は身に付けているかデイパックに入れて持ち歩くかしているので、盗まれるとしてもパンツぐらいか。仕方ない、くれてやろう。

▲一方、前を見れば……、まだ何も見えないや

 船前部のデッキに陣取ったマユゲは、Tシャツを脱ぎ、「最後焼き」を試みる。陽射しは今日も強く、ジリジリと肌を焼いているのが感じられる。しかし肌に風が当たるので暑さがやわらぎとても気持ちいい。

 ふと隣を見ると、ヨーロピアンたちもそれに続いている。考えることは皆一緒のようだ。でも、そもそもどうして人は「肌を焼く」んだろう。何で皆黒くなりたいんだろう? 自分を含め、いろいろな肌の色の人々を見ながらふと考えてしまった。
スラー・ターニーよりバンコクへ、今度は列車だ

▲積み込みが終わると、今度は切符の改札で大忙し

 フェリーのデッキで最後のリゾート気分を味わったマユゲは、午後3時25分、ドンサク港に降り立つ。フェリーからは何台かバスが出てくる。ここからは行き先が分かれるので、乗客達はバタバタと慌てふためいて自分のバスを探すのに躍起になっている。マユゲもさっき乗ったバスを探し、自分のバックパックを見つけ出す。制服を着た係員らしき人から情報をもらいつつ、とあるバス横で荷物の積み込みをしている兄ちゃんに声を掛ける。「このバスはレイルウェイステーションに行くかい?」汗をふきふき、そうだ、というので彼に荷物を渡し、無事荷物がバスの土手っぱらに収まるのを確認。まぁこれでバスがどこか他の場所に着いても荷物は一緒だ。

 車内は、横一列が二人と三人に分かれた五人掛けになっていて、体のでかいヨーロピアンたちと一緒になると非常にきつかったが、そのひとつに腰を下ろす。積み込みをしていた兄ちゃんが今度は車内で切符の改札を始める。労働しているものの汗がとても美しく見えた。

▲間違いない。ここで合ってる

 バスは一時間半ほどでスラー・ターニー駅に到着。やはり間違っていなかった。腕のCASIOプロトレックは午後5時を指していたが、あたりはまだまだ明るい。駅前に並ぶ各食堂のおばちゃんたちがバスから降りてくる乗客に向かって手招き合戦をしているのがおかしい。

 そのひとつで早めの夕食をとったマユゲは列車に持ち込む食料を買いに近くの商店を見て回る。そこで探していたものを発見。「Tutty Frutty」とかという名前のグミ・キャンディ(10B)だ。サムイのスーパーで試し買いしたらこれが超ウマですっかりハマってしまっていたのだ(ちなみにサムイのスーパーではタイガー・バームの隣に「ライオン・バーム」という同じようなパッケージの笑える薬を売っていた。リベンジャーズへの土産に買っておけばよかった……後悔)。これを5箱と水などを買い込み駅構内へ。

▲タイのプラットフォームは「低い」

 列車は午後6時20発の予定。案内板に指定されたプラットフォームを覗いてみるもののまだ列車は到着していない様子。しばらくここで待っていたのだが、声を掛けてきた駅員さんが言うには別のホームにもうすでに到着しているのが、マユゲが乗るべき車両だという。指差されたホームを見ると確かに二両だけの車両が停まっている。どうやらこの後到着する列車にこの二両が連結されるらしい。

▲「低い」ホームから列車によじ登る

 それでは、と乗り込む(写真右)。

▲暑ーっ! これに11時間!?

 車内は左右に席が並ぶタイプになっており(写真右)、

▲真横に荷物が置けてグー

その片側では二人が向かいあって座るかたちになる(写真右)。

 バンコク到着予定が次の日の午前5時だから、約11時間の旅だ。この暑さだと先が思いやられる。

 予定より20分だけ遅れた午後6時40分、無事連結も終わった列車が出発。なるほどスイッチバックして連結した後、先ほどのホームに再入線するわけだったのか。薄暗くなりかけたスラー・ターニーを後にする。次の駅で向い合いシートの相方が乗って来て、ひとりの気ままな状態はすぐに終わってしまったが、彼女はフランクそうな女性でひと安心。姉さん、長い旅ですが、ま、ひとつ、よろしく頼んますわ。

▲それは、一ボックス約1分30秒の早業。

 夜8時頃になると、我々の車両に車掌さんがやってきて寝台の準備を始めた(少し暗いけど写真右)。このタイプの車両は初めてなだけに、その一部始終を観察。
  1. まず向い合いシートの座る部分をお互いに引き寄せ、空いた隙間を背もたれで埋める。
  2. 上段のベッドとなる天井のカバーを開け、この中にしまわれている下段用の枕・シーツなどを取り出す。
  3. シーツ巻きは、その耳を裏側へ折り返す丁寧さ。
  4. ピンと張ったシーツに枕を置き、カーテンを掛けていっちょ上がり。
 それはひとコマ約1分半の早業であった。

 車掌によるベッドメイキングがひと通り済むと車内はすっかり寝台列車らしくなった。早くもカーテンを閉めて寝の態勢に入る者もいる。マユゲはしばらく席が近いデンマーク人の兄ちゃんとおしゃべりしていたが、午後9時過ぎには就寝。この頃には暑さも峠を越えており、カーテン内はなかなか快適な個室となっていた。

タイの車窓から

 翌2001年3月16日(金)、朝5時起床。間もなく到着予定時刻だが、列車はまだ動いている。まだ薄暗い窓の外を見るが、とてもバンコクに近いとは思い難い風景。車内の人々もまだ動き出す気配なし。そこで二度寝。

▲空は刻一刻とその色を変える

 再び目が覚めた午前6時20分、窓からはきれいな朝焼けが見えた(写真左)。続く6時40分頃には日の出(Pls.Roll Over!)。列車から見る日の出ってのも、趣があってよいものだ。

 7時を過ぎると車掌さんが今度はベッドをしまいに回ってくる。まだもうちょっと横になっていたい気分だったが、起きるとするか。斜向かいのボックス上段にいるセイン・カミユ似のドイツ兄ちゃんが「まだ寝かせてくれよー」と冗談半分で言って車掌を困らせていが、彼も観念して起き上がってきた。

▲単線って、なんか味があっていいねぇ

 マユゲは歯を磨きに車両最後部の流し場へ向かう。列車の最後部に連結されたこの車両からは、こんな素敵な光景が見られるのだ(写真右)。

▲また、暑い

 途中通過した駅を地図で探して分かったのは、この列車は半端なく遅れているということ。まだまだ先は長そうだ。再び向い合いシートとなると、席は窮屈。相方と、足を伸ばして互いのシートの上にかかとを載せ合って座ったり、今度は態勢を変えて窓に足を載せ、次第に高くなる太陽を見上げながら座ったりといろいろ変化をつけてみるが、10分と持たない。
ゆかいな仲間たち

▲中身はこんなんでーす

 午前9時を過ぎてもまだまだ到着の気配はなし。そこで、途中駅で乗ってきた売り子のおばちゃんから朝食を買う。相方の姉さんは小さなパックに入ったお弁当を、上手に箸を使って食べている。美味しいか尋ねたら、「GOOD!」といって見せてくれた(写真右)。

 マユゲは、もち米を平べったいおにぎり状にしてサランラップで巻いたものと魚の薫製がセットになったものを買い、両手でそれらを交互に食べていた。それを見た斜向かいのセイン・カミユが声を掛けてくる。「アーナターノ、オイシイ・ストーリー、キーカセーテクーダサイ」とはさすがに言わなかったが、「なんだい、それ? うまいのか?」と興味深々の様子。この薫製はちょっと味が濃いものの甘辛煮といった感じでそこそこイケる。もち米も懐かしくてよい。彼にちょっと食べてみるかい?と薦めてみたが、顔をしかめて「FISH? NO Thank you.」とのことだった。

▲はしゃぐカミユ(左)とベイ・ファン兄ちゃん(右)

 カミユの相方は、オーストラリアから来たこれまた一人旅の兄ちゃん。彼はかつて横浜の山手に数年住んでいたことがあるらしく、横浜にゆかりのあるマユゲは思わず意気投合してしまった。我がベイ・スターズの試合を横浜スタジアムで何度か見たこともあるというからびっくり。ちょうど優勝した'98年シーズンのことらしい。ローズにサインをもらったというエピソードを嬉しそうに話してくれた。その後日本を離れてしまったとのことなので、SASAKIは今メジャー・リーグで活躍しているよ、と教えてあげると目を真ん丸くして驚いていた。いやー、しかし世界は広いんだか、狭いんだか……。

▲爪楊枝ケースは、無印の印鑑入れで代用

 楽しい会話をしながら遅めの朝食を終えたマユゲは歯のお手入れ。持参の爪楊枝と小型手鏡でクリーニングに勤しむ(写真右)。相方は「日本人はこんなもの持ち歩いているのか」とばかりに驚いていた。みんな持ってるわけじゃないけどね。

▲こーして、こーして、こーするの

 食事が済むと、今度は金髪のお嬢ちゃんの時間。彼女の今のマイ・ブームは、ストローを空のペット・ボトルに入れること。車両中からストローを回収し、一生懸命ボトルに入れてはひっくり返してまた入れ直すという作業をとても楽しそうに続け、観客の笑いを一手に引き受けていた。

▲ようやく「街」の匂いが……

 そんなこんなで、12時に。ここでようやく高層ビル群が見えてきた(写真右)。

▲日本では見られない、まさに「終点」というつくり

 終点であるバンコクのファランポーン駅に到着したのは、なんと「7時間半遅れ」の午後12時30分。しかし遅れ方もここまでくると男前である。

▲バンコクは排気ガスがすごい

 ここファランポーン駅から、宿泊しようとしているサヤーム地区までは近い。トゥクトゥクを捕まえて、ひとっ飛び(写真右)。

 しかし、サヤーム地区の宿は相変わらず混んでいてひと苦労。お目当てのBED BREAKFASTは予約ですでに満室。マネージャーが何本か電話を掛け、いろいろ当たってみてくれているみたいだったが、やはりダメ。マネージャー曰く、「I'm sorry...」 それは仕方ないさ。そこでこの通りの宿を次々に当たってみる。

 並びの「WENDY HOUSE」は、あまり条件のよくない部屋が空いていたものの値段がふっかけ気味。さらにやる気のない女マネージャーが「どーせここらへんのホテルはどこもいっぱいだからウチにとまるしかないんでしょ」的な態度で話をしてくるので、「バンコクにはいくらでもホテルはある。俺はこんな態度のホテルには泊まりたくはない。」と言い捨てて出てきてしまった。まったくそういう商売してるといつかつぶれるよ。

 次に「地球の歩き方」で良く書かれている「WHITE LODGE」。ここも、おそらく日本人であろう、予約がいっぱい。こちらからHelloと言うなり、入り口の椅子に座った女性が「予約はあるの?」と尋ねてくる。足を組んで座ったまま椅子から立ちもしない。してないと答えれば追い払うように手を振って「No,No! No Roomネ」。この態度にはさすがに腹が立った。日本人が調子に乗らせちゃったな、ここは。

 その次に訪れたホテルで、安くそこそこきれいな部屋をゲット。何しろスタッフがまとも。これでひと安心だ。さてロング・ロング・トレインの後は、シャワー。今度はコールド・シャワーが気持ちいい。シャワー後は、南国で日焼けした全身にバナナ・ボートのアロエ・ジェルを塗りたくり、"アロエ谷さん"状態になるマユゲであった(CXトブクスリを見ていた人にしか分からないか……)。


2001.3.16 バンコク  サヤーム地区  PRANEE BUILDING 22号室にて

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