mayugeのダラダラ放浪紀 頭巾ちゃんの誘惑、マレーシア (Malaysia)

「ペナン」篇 その1 ( Penang・1 )


21世紀 初海水浴、出足快調?

 2001年3月1日(木)、アダムスファミリーが営むスイス・ホテルに荷を降ろしたマユゲは、モトバイ(MOTOR BIKE)を借りてビーチへ乗り込む。MOTOR BIKEといっても、50ccギア付ノンクラッチ、日本のおまわりさんの足「HONDAスーパー・カブ」タイプのバイクである。ヘルメットをかぶり、かごにデイパックを突っ込み、超安全運転で出発。

 ペナン島の北部には「バツー・フェリンギ」と「タンジュン・ブンガ」という観光客が集まるふたつのビーチがあるのだが、そのうちやや静かなほうという評判の「タンジュン・ブンガ」へ行くことにする。ゆっくりとはいえ風を切って走るのは気持ちよく、卒業旅行で行ったプーケット以来久し振りの原付バイク運転を楽しむ。時間はちょうどお昼を過ぎた頃。日差しは強く、バイクのハンドルを握る手と腕がジリジリと紫外線を吸収しているのが感じられる。

 ジョージタウンは一方通行が多く目指す方向へ抜けるのに苦労したが、海岸沿いの道に出てしまえばあとは道なりに進むだけ。途中丘を越えたりもしつつ、右手に海を見ながら約30分走って「タンジュン・ブンガ」に到着。バイクを木陰に停め、海の家で「ござ」のようなビーチマットを買って、いざビーチへ。「タンジュン・ブンガ」の中でも一番西の端に出たようだ。評判通り人出は少なく静かであったが、ビーチ中央付近では、バナナボートやパラセーリングなどのマリンスポーツも行われているようだ。しかしこれまた評判通り海の水はきれいとは言い難い。汚染されて汚いのではなく、遠浅ではないため波がビーチ付近でブレイクするので、どうしても水が砂をはらみ濁ってしまうのだ。しかし遠くを見渡せば、青い空と水平線がおりなす南国らしい風景を充分に楽しめる。

 よっしゃ、ここで日本より一足お先に夏男だ! マユゲはここでTシャツを脱ぎ日焼けを開始。すでにTシャツの袖がかかる部分と表に出ている部分で、肌の色の差が出始めていた。バイクに乗っている30分程度でもかなり焼けているようだ。さっそくK.L.で買っておいたコパトーンを入念に塗り、ござの上に寝っ転がる。ジリジリと照り付ける日光、ダラダラ流れる汗。水を飲んだり海に入ったりしながら約1時間半ばかり頑張ったが、暑さに耐えられずこの日はここで終了。初日ということもあり、このあたりで止めておかないと肌のヒリヒリで大変なことになりそうだ。最後にもう一度海に入ろう。

 水に入ればやはり冷たくて気持ちいい。今度はただ水を浴びるだけでなく、平泳ぎ、クロールなど"昔とった杵柄"を披露しつつ、背泳ぎにさしかかったとき、左足に激痛が走った。

 クラゲだ。

 ちっきしょー、と思いながらも、再び刺されることを恐れ急いで陸に上がる。振り返って海面を見ると直径30cmほどもあろうかというでかいクラゲが、ゆーらゆら浮いていやがった。なんとか仕返ししてやる方法がないものかと思ったが、まずは処置が先。近くの海の家で症状を話そうとして左ひざの上を指差すと、すでに帯状にツブツブができ始めている。 それを見た店のお兄ちゃんが「Oh, Jelly Fish!」とすぐに理解してくれて何やらスプレーのようなものを持ってきてくれた。やっぱり海の家、薬が常備されているのか。ムース状のそれをつけると、なんか少しよくなった気分。でもよく見ると、それはamwayのスキンローションであった。気休めか……。

 21世紀最初の海水浴でいきなりジェリーフィッシュの来襲を受けてしまったマユゲは、ひとまずホテルへ退散することにする。くっそー、ジェリーめ。お前その電気、他に活かせよ。

魅惑の館を後にする

 この日の日焼けタイムは1時間半程度だったにも関わらず、その夜は背中の暑さに悩まされ、なかなか眠りにつけなかった。実はそれなりに焼けていたらしい。しかし原因はそれだけでもなさそうだった。部屋の大きな窓から日中差し込んだ光がベッドをすっかり「ホット・ベッド」にしてくれていたのだ。頼みの綱のファンは相変わらずマイペースで部屋の空気をかき混ぜているのみ。これでは快眠とはいかない。アダムスファミリーの最後の一人、フランケンも見ていなかったし、清潔でいいホテルだったのでもう少し泊まってもいいかなと思っていたのだが、翌日チェックアウトすることにした。

 朝食を食べに出たついでに何軒かホテルを見て回る。その中でインド人が経営するホテルにエアコン付共同シャワー・トイレの手頃な部屋を見つけ、後程荷物をもって来てチェックインすることにした。

 最後にコピミル・マンと記念撮影(写真右)。タロ・ジロにも別れを告げ、アダムスファミリーが営むスイス・ホテルを後にする。

 振り返って建物を見てみる(写真右)。ルブ・チュリアからは少し奥まったところにあって静かだし、直射日光が当たらない反対側の部屋だったら「ホット・ベッド」じゃなかったんだろうな。

 たまたまマユゲが泊まった部屋は結果的にいまいちだったが、もっと奥がありそうな魅惑的な館であった。
ジョージタウン、グルメ事情

 2001年3月2日(金)、スイスホテルを出て、セントラル・シティー・ホテルという、これまた名前の立派なホテルへ宿替えしたマユゲはジョージタウン内を少しだけダラついてみた。

 まずは旅行者が集まるここルブ・チュリア(別名チュリア・ストリート)。レストランや食堂、ホテル、旅行会社の看板が並び、バスやタクシー、モトバイなどがひっきりなしに通る活気ある通りだ。

 ここで今人気なのが、サッカー英プレミアリーグの中継を流すレストラン。この手の店はいくつかあるのだが、手書きの看板に「本日の中継予定カード」を表示しているところもあった。

 夜ともなれば店の人気の差が一目瞭然。テレビに見入りながらカールス・バーグのグラスを手にした客たちで盛り上がる店と、閑古鳥がクェークェーと鳴き店員のおばちゃんがやる気なさそうにうちわをあおいでいる店。やはり観光客の中心はヨーロピアン。ここでもマーケティング力の差が売上に影響しているようだ。

 その中のひとつ、ヨーロピアンが好みそうなオープンエアのカフェテラスにマユゲも入ってみた。パラソルがついた四人掛けの白テーブルが並び、奥にはドリンクを提供するカクテルカウンターなんかもある。バンコクのカオサンあたりにありそうな店だ。昼間だったので客の入りはいまいちだったが、横では一組のヨーロピアン・カップルがオープンエアのビリヤードに興じている。
 そのテーブルのひとつに腰をかけTIGER BEERを待っていると、足元に何者かの気配が……(写真右)。マユゲはどの国に行っても、蚊と犬には好かれるらしい。

 また、ルブ・チュリアの西の外れで交わるジャラン・ペナンという通りも店が多いところだ。マユゲはそこに、いいインド料理屋を見つけた。この日の朝、食事に出たときに、ベースボール・キャップとサッカーのユニフォームを身につけた愛敬のあるヒゲ面のインド人の「おーいそこのジャパニ、うちに寄っていきなよ。ウェルカム、ウェルカム」という、半ば強引ともいえる勧誘によって入った店なのだが、ここのロティが最高にうまい。ロティというのは、インド料理に数ある、穀物からできたパンのようなものの一種で、油分が多くクレープのような状態に焼きあがっているタイプのものだ。卵を混ぜたエッグ・ロティも好んで食べられており、注文すると通常は小さなカレーのスープがついて出てくる。これをつけて食べるのだ。

 しかしこの店で特にお勧めしたいのは、「バナナ・ロティ」。この日の朝食でプレーン・ロティと一緒に頼んだのだが、これは癖になりそうだ。「外はパリパリ、中はしっとり」に焼きあがったアツアツのロティのなかで、輪切りのバナナがちょうどよく熱せられ、その自然の甘みが外側のクレープ部分と絶妙にマッチしてくれちゃうわけである。これに各種あるラッシー(ヨ−グルト・ドリンク)を添えれば、朝食やおやつにもってこいだな、こりゃ。

 ヒゲのおじちゃんがうちは夜の料理もうまいよと胸を張るので、ホントかどうか試しにこの日は夕食もここへ行ってみた。
 おじちゃんお勧めのチキン・ライスとスウィート・ラッシーを注文。意外とすぐにものが運ばれてくる(写真右)。よく煮込まれたカレー・スープと、野菜が添えられたサフランライスの皿。チキン入ってないじゃん、おじちゃん。するとチキンは中に隠れているのだという。それを引っ張りだして肉を交ぜ、カレーを掛けて食べるのがうまいのだとか。

 さっそくサフランライスをほじくってみる(マウスポインタを写真の上に合わせてみてください)。するとチキンの片足が骨付きで丸ごと入っている。このチキンもよく味付けされていて、各種の野菜が溶けるまで煮込まれたマイルドなカレー・スープと、さっぱりしたサフランライスと混ぜると確かにうまかった。ホントだ、うまいよとおじちゃんに声を掛けると、彼はまた胸を張って笑った。

 ジャラン・ペナンを南に降りる左手には、ルブ・チュリアと平行するかたちで何本かの通りがあるのだが、どうやらここはチャイナ・タウンのよう。夕方ともなりいくつか並ぶ中華食堂からは、こちらもまたいいにおいが漂ってくる。中華鍋でサッと高温の火を通した野菜炒めでも食べたいね。

 明日の夜は中華だな。

またまたご紹介です

 明けて2001年3月3日(土)、朝食を食べにまたインド料理屋へ足を運ぶ。おじちゃんは今日も絶好調の様子。写真を撮らせてくれと言うと、ちょっと照れながらも帽子をかぶり直してひげを整える。

 メニューの上から五つめ。今日も「ROTI PISANG(Banana Pan Cake)」とプレーンロティ、それからサワー・ラッシーを注文。

 今日も、外はパリパリ、中はモチモチの状態でマユゲ大満足。

 もう三回目の来店なので、従業員たちとも仲良しに。
 ここで今後ペナン島を訪れる人のために場所をおさらい。

 ルブ・チュリアがジャラン・ペナンにぶつかるT字路を左折して30メートルほど左手(左の写真参照)。「TajMahal」という立派な名前の店がありますが、ご紹介したいのはその右隣。屋上に「CITIBANK」の看板がありました(2001年3月3日現在)。店の名前は分かりませんが、横を通るとベースボール・キャップにサッカーウェア姿のヒゲ男がきっとあなたに声を掛けてくることでしょう。

 お勧めは、もちろん「バナナ・ロティ」。マンゴー・ラッシーもなかなかイケます。


ダラダラ旅、予定は未定

 朝食もバッチリとった。今日はもう少し遠くまでジョージタウンを歩いてみよう。といっても歩いていける範囲にはそんなに多くの見所もなく、のんびりと数箇所だけをまわる。

 まずは、慈悲の女神寺院。中国式寺院で、ここは立地が面白い。カピタン・クリン・モスクというイスラム寺院とセント・ジョージ教会というキリスト今日の教会の間にあるのだ。他民族、他宗教の国を象徴的に表している。ここではその「慈悲の女神」と呼ばれる観音さまに挨拶を申し上げ、線香のいいにおいを嗅ぐだけですぐに外に出てしまった。狭い寺の中には熱心な信者の方たちが大勢詰め掛けていたので、旅行者はちょっと場違いな感じだったのだ。

 寺院前のルブ・ピットを海のほうへ向かうとルブ・ライトという通りに出る。ここを右に折れるとコーンウォーリス要塞という名所があるのだ。ジョージタウンはマレー半島に向かって突き出たかたちの半島になっているのだが、その最先端の位置にこの要塞がある。そこを目指し歩いていく途中で海に出た。

 堤防ギリギリのところにあるテーブルで頭巾ちゃんたちがキャッキャ、キャッキャとおやつを食べながら盛り上がっていた。我々には異様な格好に見えてしまうのだが、中身は普通の女の子なんだろうね。

 そのまま海沿いに進むと要塞だ。
 途中、ペナン島名物の交通手段、トライショーとすれ違った(写真右)。トライショーとは自転車の前に車椅子をつけたような三輪車で、客が前に座りおじさんが後ろでこぐのだ。おじさんたちを強烈な日差しから守るパラソルが何ともかわいい乗り物。このトライショーは、ルブ・チュリアやジャラン・ペナンだけではなく、結構大きな通りであっても、車道の一番端を音も静かにスススイーと走っていく。

 後ろから見ても間が抜けてておかしい。(Pls. Roll Over!)

 すると目の前はもうコーンウォーリス要塞。そんなに高くないレンガの壁で囲われたその要塞は思ったよりも小さく、ここで外敵と戦ってもそんなに持ちこたえられはしないだろうな、といった感じ。しかしここペナンはかつてヨーロッパとアジアを結ぶ貿易の拠点として栄えたところ。植民地としてここを支配した英国も必死になって死守したことだろう。入場券を買って中に入ると工事中の個所が多く、これまた大した見所もない。ただ、きれいな芝生が一面に敷かれているので、地元のカップルがデートに来ていたりする。

 コーンウォーリス要塞の芝生で一休みしたマユゲは、そのすぐ横にあるジェティ(船の発着場)へ向かう。ここで船のチケットを買っておこうと考えていたのだ。当初は、ここペナンの後は、
 ●再び列車で北上、再び陸路国境越えしタイに入り、
 ●スラーターニーという都市まで行って船でサムイ島に渡り、
 ●そこで本格的に「ビーチのんびり生活」!
とザックリと考えていたのだが、ここペナンにいる間にガイドブックなどを読んでいたら、ランカウィ島というリゾートアイランドへの船があるということを知り、急遽この旅の旅程に加えることにしたのだ。ランカウィといえば、会社員時代のマユゲのお得意さんの中にそこを訪れた人がいて、とてもよいところだったとの評判を聞いていたところだ。せっかくだし、これは行くしかないでしょ。

 というわけでジェティ近くにある船会社のオフィスに入る。応対に出てくれた頭巾ちゃんは、おっとりとしたかわいらしい子(写真右)。エキゾチックな顔立ちしてるよなーと思い、写真を撮らせてもらった。ここで3月5日朝8:00発のランカウィ行きジェット船チケットを無事入手したマユゲは、オフィスを出る。
たとえ何を言われようと、これだけは言っておかねばなりません……。「トライショーをトライしよー」

 まあ、それは置いといて。

 せっかくなので、ホテルまでの帰り道はトライショーに乗ってみることにした。ちょうど、とあるおじいちゃんのトライショーが、こちらに向かってヨロヨロッ、ヨロヨロッと走ってくる。暑さで死んでしまうんじゃないかといった感じの、その痩せたおじいちゃんはマユゲを見ると席を指差し、乗りな、乗りなの合図をする。乗ってる間にポックリ行かれたら困るなぁと思いながらも値段交渉。初めてのトライショーで相場も分からず、おじいちゃんを安い値段で酷使するのは気が引けたのでほとんど言い値で乗ってしまった。
 おじいちゃんのトライショーは他よりも格段に遅い。若いこぎ手のトライショーにガンガン抜かれていく(写真右)。おじいちゃんは今にも折れそうな細い足でゆっくりとこぐ。それがいたたまれずマユゲも落ち着いて乗っていられない。代わって、俺がこごうか?とも思ったが、さすがにそういうわけにも行かない。それに、どうやら交渉により決定した額が相場よりかなり高かったらしく、おじいちゃんは「女神はみたのか?」「あっちにも寄っていこうか?」としきりにサービスを加えようとしてくれる。いや、もう見たんだ。それより早くこの落ち着かない状況を終わらせたい……。

 そんな思いのマユゲを乗せたおじいちゃんのトライショーは、約30分かけてホテル前に無事到着。支払いを済ませると、おじいちゃんは運転台を降りてホテル入り口のドアを開けてくれようとする。マユゲが、いいからここでと静止しても、そこはおじいちゃんもプロのサービス精神で譲らない。

 結局、歩くより遅かった。しかし、ここでまたある広告のコピーを思い出してしまった。JR東日本、青春18切符のポスターにあったその言葉は、確かこんなことを言っていた。

 早く着くことよりも 大切にしたいものがあるあなたへ。

 時折おじいちゃんと話しながらのゆっくりとしたこの"小旅行"は、今となっては日本や欧州の車がエンジンを吹かして走りまわるこの島本来のペースを教えてくれているようで、とても感慨深いものだった……。


2001.3.3 ペナン島  セントラル・シティー・ホテル 208号室にて

BACK
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送