mayugeのダラダラ放浪紀  頭巾ちゃんの誘惑、マレーシア (Malaysia)

「シンガポール〜クアラルンプール」篇 ( from Singapore to Kuala Lumpur )


島国の男、陸路で国境越える

 2001年2月26日(月)、前日駅で買っておいたマレー鉄道のチケットを握りしめたマユゲは、タクシーでシンガポール市街の外れにあるMalaysian Railway Stationへ向かう。YMCAホテルのレセプションの姉ちゃんが言う通り、ホテル前の歩道でタクシー待ちしていたのだが、夜で暗いのに加え、シンガポールのタクシーは空車なのか賃走なのかが分かりにくく、走ってくる車に片っ端から手を挙げる、という猿岩石状態を30分続けてようやく乗車。

 駅までは約15分。相当時間に余裕を持っていたので早く着きすぎたくらいだ。列車は既にプラットフォームに到着していたが、改札はまだのよう。駅の待ち合い室には大きな荷物を持った乗客たちが既にたくさん改札待ちしている。そこでマユゲも駅の茶店で、ミルクティーに世界で一番甘いシロップを入れたような冷飲料を飲みつつ約1時間ほどのんびり。おい、そこの中国系のおばあちゃん、なんでさっきから俺のことじーっと見続けてるのよ?

 午後9時30過ぎ、乗客たちが一斉に色めきだした。どうやらホームへの入場が始まったらしい。マユゲもキヨスクでミネラルウォーターを買い込み、列に並ぶ。ここ、シンガポールのマレー鉄道駅にはマレーシアのイミグレーション・オフィスがあり、シンガポールの出国手続き前に先にマレーシアの入国手続きを済ませるようになっている。駅員がチケットに鋏を入れ小さな穴を開けてくれた後はマレーシア入国審査の列に並ぶ。列は、マレーシア・パスポート用と外国人用の二つのみ。圧倒的に外国人旅行者の列のほうが長く、すっかり作業を終えたマレーシア人列の審査官が、「いいからこっち来なさい」と手招きしてくれたので、スス、スイー。

inside of Malaysian Railway's sleeping car(2nd class) そしていよいよ列車に乗り込む。寝台列車かぁ、いつ以来だろう。高校の修学旅行?いや、札幌出張の帰りにエア・チケットがとれなくて北斗星で帰ったことがあったな。あれ以来だ。

 チケットにある番号の二等寝台車両を見つけた後は、自分の番号のスペースを探す(写真右)。

 10番……。あった、ありました。

 さっそく荷物を降ろし、足を伸ばして座ってみる(写真右)。二段ベッドになっている寝台の下の方が若干料金が高いのだが、やっぱり下のほうが広いし、なにかと便利。

 しばらくすると、中国系の若者が声を掛けてきた。ドラマ「きらきらひかる」で松雪泰子の部下、所轄上がりの憎めない熱血刑事役を演じていた俳優似のナイスガイ。彼の席は6番だが、どこがそれなのかはっきりしないという。そこで一緒に探してあげると、マユゲの斜向かい。近いね、よろしく、と握手。

 聞けば彼はマレーシア人の学生で、休暇を利用して遊びに行っていたシンガポールに住むおばあちゃんの家から帰るところだという。彼もスモーカーなので、 車両の連結部にある灰皿横へ行って少々おしゃべり。彼は英語がメチャメチャ達者なので何故なのか聞いてみると、うまいなんてとんでもない、と照れながらも説明してくれた。 もし僕が"very good" at speaking Englishだとすれば、それは父の仕事の関係で幼少期はオーストラリアに数年、その後おばあちゃの住むシンガポール(英語が公用語)に これまた数年暮らしていたからじゃないか。ふーん、なるほどねー。でも彼は母国語であるマレー語は不得手なのだと恥ずかしそうにいう。ふーん、まさに帰国子女ってやつだね、 と思ったが英語でなんと言うのか分からなかったので、ただフムフムうなずいていたら、ガタンと列車が揺れ、出発。

 午後10時20分。わずか五分の遅れで出発だ、出足好調!すると彼は当たり前のように開いていた列車の扉を閉める。自動じゃないのね。そこでマユゲも真似して、もう一方の扉を閉める。しかし、それでもガタンゴトンという騒音がうるさい。二人とも耳に手をやり「???」とか「Sorry, I'm going to ……what?」と言いながら笑うしかない状態が続いたため、席に戻る。話はやはり何処から来て何処へ行くのかといった展開になる。 そこでマユゲの旅の話などを簡単に披露したら、彼も「うーーーん、ボクも旅したいよー!」とこぶしを握りしめながら叫んでいた。
 しばらく走ると列車はすぐにまた停車。駅の看板を見ると、トレイン・チェックポイントとある(写真右)。どうやらシンガポールの出国審査が行われる駅に到着したようだ。
 所轄クンとともにパスポートと貴重品だけ持って列車を降り、人の流れにそってプラットフォームを歩いて行く(写真右)。彼によれば、この時季は空いていて君はラッキーだよ、とのこと。もう少し前だと旧正月の帰省客などで出入境時の人の列はすごいことになるという。

 ここウッドランドの駅には、先ほどの駅での入国審査とは打って変わって立派な出国審査カウンターがあって空港のよう。やはりまた外国人列に並ぶが、すぐに空いているマレーシア人列のほうへ誘導される。

 通関チェックのコーナーもあったが、みんな素通り。係員たちもなんとも和やかで非常にスムース。順路に沿って進むとまた駅のホームへ戻った。みんな一斉にまた自分の席へ戻っていく。飛行機よりももっと「国境越え感」を実感できると思って期待していたが、別に飛行機で出入国するのと変わらんな。ちょっと拍子抜けしつつ喫煙コーナーに戻ってまた雑談。
Lights of Johor Bahru(a city of Malaysia) 再び走り出した列車の窓からは、線路の横を走る道路が見える。どうやら今は橋の上を走っているようだ。彼が、ここが国境だよと教えてくれる。ここシンガポール〜マレーシア間の国境は自動車用の橋も通っているので、もちろんバスでも、その気になれば徒歩でも越えられるのだ。

 すぐに街の灯りが見えてきた(写真右)。あれがマレーシア国境の街、ジョホール・バルのようだ。ここでマユゲにもようやく「陸路国境越え」の実感が沸いてきた。なんかちょっと感動。

 席に戻ると、マユゲの隣、所轄クンの向かい席のカーテンが開いていて、これまた中国系で小柄でかわいい中年のおばちゃんの姿が見える。欽ドン!良い子悪い子普通の子のお母さん役の女優さんに似ている。今度は所轄、欽ちゃんの奥さん、マユゲの三人で会話。

 おばちゃんは「これから何処へ行くの?ムラカ(マラッカ)には行かないの?とてもいいところよ。私の故郷なの。いつか機会があったら是非行ってご覧なさい」と、細い目をさらに細くしてやさしい口調で教えてくれる。二人ともこの列車でK.L.(ケイ・エル)まで行くという。K.L.とはクアラ・ルンプールの略で、地元の人はみんなそう呼ぶという。あなたは?と聞かれて、マユゲも「ケーイ・エッル、too.」と生意気にも略してみた。「あらそう、じゃあ一緒ね。」

 二人とは日付が変わるまで旅の話など中心にお話をし、その後それぞれのカーテンを閉め、就寝。……のはずが、車内が冷房でかなり寒い。Tシャツ短パンではさすがに耐えられず、バックパックから長袖Tシャツ、さらにはフリースも登場させて重ね着対応。短パンには着脱式ひざ下アタッチメントを装着。これでもまだ足りず、ベッドに付属の上掛け用シーツ(超薄い)に持参のバス・タオルを重ね、完全防寒装備にて再度就寝。おっ、これなら寝れる。えっと明日はK.L.に午前6時35分着だから目覚ましは6時かなー・・・・zzz・・・。


 セントーサ島を歩き回った後だけに快眠、翌朝は目覚ましよりも早く目が覚めた。外はまだ真っ暗。シンガポールやマレーシアのマレー半島側の都市はバンコクとほぼ変わらない経度なのに、台湾や香港と同じ時間帯なので、夜が明けるのが非常に遅いのだ。しかし後ろに流れていく車窓からの景色には人影がまじる。みな時計に合わせて暗いうちから生活を始めているようだ。しばらくはボーっとして動けなかったものの、車掌さんが「もうじきK.L.ですよー」といった感じで乗客名簿を手にK.L.下車客のベッドの落下防止柵をペンでカチカチ叩きにまわってくる頃には意識が回復していた。カーテンを開けて顔を出すと、所轄クンがそれこそテレビドラマのように目をこすりながら顔を出した。欽ちゃんの奥さんはもう既に身支度万全。一同、列車のK.L.到着を静かに待つ。

 列車は30分以上遅れたものの、2月27日(火)午前7時過ぎに無事マレーシア、クアラルンプール駅に到着。連れ立ってホームへ降りた所轄クンは、「Have a nice trip,Kenji!」と爽やかに言い残し去っていった。おばちゃんとも手を振って別れる。楽しい寝台特急だったな……。

  さて、また新しい街だ。まずは宿探し、と行きたいところだがまだ時間が早い。そこでホームを出てタクシーの客引きを振り払い、駅前のファストフード店へ。 マレー・フードありヨーロピアン・フードありのお店のようだ。いきなり炒飯もなんなのでドーナッツとサンドイッチをピックアップし、レジへ向かう。 店員の女の子は、ムスリムの女性たちが身につけているのと同じような頭巾をかぶっている。ここでまず、よりイスラム教色の強い国へ入ったことを実感。 コーヒーとともに朝食を平らげた後は、ガイドブックで街の様子を予習などしながらしばらく時間をつぶす。 店内は禁煙なので、そろそろ煙草でも吸いに外に出ようかな、と思って視線を上げたとき、ある看板が目に入った。 宿のようだ。その名も、BACK PACKER'S STATION。斜め上向きの矢印があるところを見るとどうやらこのファストフード店の上にあるらしい。 これは駅前で便利。さっそく様子を見に行く。

 階段を上がった2階にはレセプションがあり、インド人系のお兄ちゃんが対応してくれた。薄暗く清潔とは言い難い通路を進み、いくつかの部屋を見せてもらったが、なんとちょうどエアコン付きシングルの部屋が空いていて、そんなに汚くもなく高くもなかったので迷わず決定。トイレ・シャワーは共同、エアコンといってもガラス窓に無理矢理はめ込んだ超旧型冷風気なのだが。

 チェックインするやすぐにシャワー。前日セントーサ島で散々汗をかいてそのまま寝台列車だったので、一刻も早く浴びたかったのだ。シャワーが部屋から近かったので、ドアを開けキョロキョロと左右を見回し誰もいないことを確認すると、部屋の鍵と入浴セットを手にバスタオル一丁でシャワールームへ駆け込む。ここもやっぱり電気式のホットシャワー・システム。漏電しませんように、と祈りながら全身を洗い流す。しびれることもなく無事部屋へ戻った後、冷風気をつけベッドに横になると、急に睡魔に襲われた。やはり昨夜の極寒列車では眠りが浅かったのだろうか。手に槍を持ち矢印型のしっぽがついた悪賢い笑顔の「睡魔」にまんまと足を引っ張られ、ズルズルと眠りの谷へ落ちる。そして目が覚めると、昼過ぎだった。

マレーシア GENERAL INFORMATION
国旗
正式国名 マレーシア(MALAYSIA)
首 都 クアラルンプール(Kuala Lumpur)
面 積 330,434平方キロメートル
人 口 2,200万人('99)
人種民族 マレー人(54%)、中国人(35%)、インド人(10%)
宗 教 イスラム教、仏教、ヒンドゥー教
言 語 公用語はマレー語。他に中国語、タミル語、英語
時 差 日本より−1時間
通 貨 マレーシア・ドル(M$)※一般的にはリンギット(RM)
1RM=31.25円 ('01年2月27日)
電 気 220V、50Hz

汝、なにゆえ登るのか。答えはカンタン!そこに塔があるからデース。

China Town in K.L.(Kuala Lumpur) さてK.L.ダラつき開始、と行きますか。宿を出て街の北東の方角へ向かう。近くにあるのがチャイナ・タウン。ただ寝てただけなのにお腹が空いたな、と思いつつ歩いていると、あるもんです。割と大きな通りからふと横を見ると、屋台が並ぶ横丁が(写真左)。
 その中のひとつで席につく。メニューらしきものは特にないので、「ミー」とか「アヤム」とか連発したところ、ちゃんと出てきました。鶏がのっかった焼きそば(写真右)。水槽のような容器に入った飲み物を指差し、ドリンクもつけてRM4.50(約140円)。やはり屋台はここでも安い。しかし、このドリンクは失敗だった。底にふやけた麦の粒が沈んでいる甘い研ぎ汁のようなもの。さすがのマユゲも最後まで飲まれへんかった。

 そしてまず目指すは現在世界最高の高さを誇るというK.L.名物、ペトロナス・ツイン・タワー。チャイナ・タウン近くのMASJID JAMEK駅からLRTに乗る。LRTとはここK.L.を走る鉄道で、やはりここもSTAR LRTとPUTRA LRTの二路線。高架を走っていたり地下に潜ったりしているらしい。ペトロナス・ツイン・タワーがあるKLCC駅へは地下を走るPUTRAに乗って三駅。

 KLCC駅で下車し地上に出るとさっそく見えました。その世界最高とやらが。ツインタワーというくらいなので、同じような高さの同じようなデザインのタワーが並んで建っている。地上89階建て、高さ452メートル。452メートルっていわれてもねぇ。よくわかんないっス。

 確かに高い。高いことは高い。上のほうは雲に突き刺さっているようだしね。しかし高すぎててっぺんは長い間見ていられない。すぐに「首にきて」しまうのだ。そんなわけで下を見やると、入り口から長蛇の列ができているではないか! IDカードを持った関係者しか上階には上がれないと聞いていたが、まさか上がれるのか?と思ったものの、そばへ行って案内板を見ると、両タワーの中央付近に渡り廊下があって、そこを先着の何百人かが通れるとのこと。多くの観光客が暑い中入場待ちしていたが、最上部じゃなきゃなぁ、と思ったマユゲは写真だけ撮って素通り。

 しかしこれが近くからだとなかなかフレームに収まらない。仕方がないので次なる目的地に向かいながら振り返って記録することにした。

 しかし……。離れてもやっぱり入らないので、分割させてもらいます。悪しからず。
K.L. Tower その次なる目的地とは、ズバリ、「KLタワー」。またも塔です。こちらは高さ421mで世界第四位だとか。地上300mのところに展望台あるらしいので、今度は登ってみよう! ペトロナス・ツイン・タワーからは約1.5kmほどの距離。これだけ離れていれば、両方の塔がお互いの方向に倒れてもぶつからないから安心だな。K.L.タワー入り口までの長い階段と坂を汗だくになって登ったマユゲは、後頭部を押さえつつ塔を見上げる(写真右)。なんか冴えないデザインだな。横浜にもあるぞ、こんなの。
Elevator giris of K.L. Tower Tシャツの胸元に巨大な汗染みをつくったマユゲは入場券を買ってさっそく中へ入る。おっ、エレガちゃんもみんな頭巾スタイルだ(写真右)。
inside the elevator エレベーターで展望台までは約1分。電光掲示は階数ではなく高さ。今、ちょうど半分くらいかな?(写真右) 展望台は360度の大パノラマ。多角形の各辺が大きなガラス窓になっていて、その上にある写真を見ればそれぞれの窓から見える建造物や山などの名前が分かるようになっている。
 さっそく時計まわりに見学を開始。すると、先ほど訪ねたペトロナス・ツイン・タワーもその全貌がバッチリ見える(写真右)。でもさすがに世界最高、まわりにあるビルひとつひとつも決して低いわけではないのに、飛び抜けて高い。気のせいかこっちの方が高く感じたりもしたが。K.L.の駅も見えたので、ここま自分が何処を通って来たのかをなぞってみたり。これがなかなか面白い。
Here is!Tokyo Tower! ゆっくりと一周し終わると、展望台の内側(ガラス窓と反対側)に「世界の高い塔ベスト・テン」のようなコーナーがあるのを発見(実際はベスト17だった)。ガラスにそれぞれの塔の姿が透かし彫りのように描かれている。こうなるとジャパニ魂に火が点きます。やはり探してしまうもんです。第一位から順に見ていくと・・・、第九位に東京タワーもちゃんとありました! (写真右)

 高さ333mって知ってた?(縁起のいい数だな) 実は、マユゲは東京近郊に27年住んでいて、一度も東京タワーに登ったことがないのであった……。
日曜雑貨だってショッピングだい!

 K.L.の全景を頭に入れたマユゲは再び下界の人となる。午後4時を過ぎたものの未だ日が高いK.L.の通りを地図を見い見い歩く。そうそう、ここマレーシアではストリートをJalan(ジャラン)と呼ぶことが多い。ふと日本の雑誌を思い出す。あの名前ってここから来てるのかな? メインの通りの一つには、ジャラン・アンパン(餡パン通り?)なんてのもある。あっ思い出しちゃった。うぐいすパン食いてー。それはさておき、市街の中心部の差し掛かった。ここで涼をとるべくエアコンの効いたショッピング・センターに入る。
 ここは地下一階から地上何階かまでが吹き抜けになっていて、地下にあるスーパーマーケットが目に入る(写真右)。ここの店員さんもみな頭巾だよー。この国の人にとっては何でもない光景なのだろうが、宗教というものが生活の中に溶け込んでいるこの感じはとても新鮮。

 次に、一階奥にドラッグストアを見つけたマユゲはちょっとした買い物。マツキヨより整然と商品が並んだ店内をいろいろと見て回る。そう言えば日本から持ってきたエフティ資生堂アクエア水分ヘアパックシャンプー(旅行サイズ)がそろそろ切れかかってたな。よし、ちょうどいいので買っておこう。あまり大きすぎるのは荷物になるので小さめのものを探すが、これがなかなかない。改めて店内をあっちこっち探しなおすと、端っこのほうに手ごろなサイズのハーバルエッセンスを発見。やわらかい用や普通の髪用などタイプが何種類かラインナップがあって意外に広くフェースをとっている(かつての仕事グセが知らぬ間に……)。どうやらこっちではメジャーなブランドらしい。剛毛のマユゲはここで迷わずダメージヘア用を手に取る。

 何か買い忘れがないか、さらに店内を進むと、あるエンド什器が目に留まった。K.L.の次に行こうとしているのはペナン島。そこで何日か滞在し、その間にビーチにでも行っみようかと目論むマユゲは、ここでコパトーンのサンローションとバナナボートのアロエジェルも購入。SPF8くらいにしとくか。ビーチではきっと観光客の足元をみるような高い値段で売っているに違いない。ここで買っておくのがグーでしょ。それにしても俺って、準備良すぎて困っちゃうよな。

マユゲ、ためらう。

 賢い買い物をしご機嫌のマユゲはさらにK.L.市街を進む。ジャラン・スルタン・イスマイルからジャラン・ブキッ・ビンタンに折れる角には伊勢丹が見える。このあたりがK.L.のイケてる若者たちの集まるところらしい。そう言えばちょっとおしゃれな子たちが多いかも。スネ毛&サンダル姿のマユゲは、彼らにはおかまいなしにK.L.銀座を通り抜ける。こんなファッション・タウンでもすぐ裏には大きな屋台街があるらしいからだ。伊勢丹からは徒歩3分。そして、大通りジャラン・ブキッ・ビンタンと平行するように走るジャラン・アローというその通りにたどり着いた。
 すると、屋台街の入り口にある屋台にぶら下がるイガイガ果物が目に入った。そう、ドリアンです(写真右)。一人では食べきれなさそうなので、ここでは覗くだけにしておいたが、近づいただけで強烈なにおいが漂ってきた。裏で店主が切身をつくっているのだ。基本的に屋台ではチャレンジャーのマユゲなのだが、だめだ、これは食えん。どう考えても口に入れるもののにおいではない。どちらかと言えば、体から出すもののにおい? それでもこのドリアンは、こちらの国々では果物の王様として人気があり結構高価なものらしい。

 こんな事件もあった。セブンイレブンで日本でもお馴染みのソフト・キャンディー「メントス」を発見。見慣れないパッケージ色だな、ミックスフルーツか何かかな?と気軽に考えたマユゲはなんとなく買い物かごに入れ、ホテルに帰りひと粒を口に放り込んで飛び上がった。

 おえっ、これ腐ってるよー。

 すぐにビニール袋に吐き出し、ミネラル・ウォーターで入念に口をゆすいだマユゲは、怒り心頭でパッケージの賞味期限の印字を探す。しかしそこで目についたのが「DURYAN」の文字。ははーん、そゆことだったのね。しかしメントスにまでドリアン味があったのには驚いた。

我、この旅、屋台に運あり、と見た。
 ここジャラン・アローはシーフードを扱う中華の店などが多い。しかし時間が少し早いのもあって、どこも開店前の準備中といった雰囲気だ(写真右)。その中ですでに営業を始めているらしい甘味処に目をつけ、腰を降ろす。

 この店は二人の男によって営まれているらしい。一方は中国系で、若かりし頃の小林旭といった感じのガッチリ型・角刈り兄さん。いかにも兄貴分といった風格がある。もう一方はひょろっとした体躯で浅黒い顔をしたマレー系兄ちゃん。旭兄ィを慕う弟分といったところか。寡黙なのは二人に共通している。最近では癖になってしまった人間ウォッチングをひと通り終えたマユゲは、店の正面に戻って色褪せた写真が並ぶメニューの中からひとつを指差し注文。再び席で待つこと少々。
 すると、弟分がすっごくうまそうなものを運んできてくれるでないの! 氷とミルクとフルーツをシェークしたジェラート状の食べ物。これに各種フルーツの切身が混ざっている(写真右)。

 ひと口食べて思わず言葉が漏れる。うーわ、こっれ、うまっ。自他ともに認める甘いもの好きマユゲが思った。ここの「Mix Fruits Lolo」は、まさに絶品。甘党の人はK.L.に来たら是非立ち寄るべき。特に暑い中を歩いた後がよろしいかも。(なんか最近グルメ旅行記になってきてる?) 帰りがけに代金RM3.00(約94円)を支払い、「おいしかったよ」と声を掛けると、弟分はちょっと微笑み「ありがとう」と答えてくれた。
旅ぃーゆけーばぁー、異国ぅー情緒にぃー酔いーしれぇーるー。

 寡黙な男二人が提供する逸品に舌鼓をうったマユゲ、本日のダラダラはこのへんにしてホテルへ向かう。夕方の交通渋滞が始まり排気ガスが立ち込めるジャラン・インビを20分ほど歩き、STAR LRTのHANG TUAH駅に辿り着く。自動券売機がなかなかRM1札を受け付けてくれず手間取ったが、なんとかホームへ(写真右)。LRTの自動券売機はRM2札以上からしか使えないのか、もう恥かいちゃったよ(汗)。
OLD MUSK in K.L. 二駅乗って先ほどPUTRA LRTに乗ったMASJID JAMEK駅で下車。ここは二路線の乗り換え駅なのだ。駅のすぐ横にはモスクがある(写真右)。ふたつの川の合流地点にひっそりと建つこのモスクは、近代的な建築物が並ぶK.L.の街にあって一風違った雰囲気を醸し出している。覗いてみると、風が通り抜ける大理石張りの広間でムスリムの男たちが、寝転んだり、お祈りしたり気ままに過ごしていて、見ているこちらもちょっと和んだりする。

 さて、ホテルまでの中間にあるGPO(郵便局)によって航空小包送付の値段だけ調べて帰ろっと。
 川沿いの遊歩道をのんびり歩いていると、ここでも色とりどりの頭巾ちゃんたちとすれ違う。結構みんな色使いなんかも気にしてるのね。異国情緒溢れる南国女性の麗しき姿に、しばし見惚れるマユゲであった。


2001.2.27 クアラルンプール トラベラーズ・ステーション 8号室にて


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